花売り娘をレディにするには?
小学校の頃、バレエを習っていたことがあります。
教室に通い始めたのは3年生になった時で、
周りの子に比べると遅いスタートでした。
ちょうど発表会前で、教室では通常レッスンの後、
各演目の練習が行われていました。
入ったばかりで何もできない私は、もちろん見学です。
でもある日、先生に「発表会の練習に入ってもいいですよ」と言われました。
練習を見ていたら、できそうだから、と。
私は、ほかにあまり取り柄がなかったのですが、踊りを覚えるのは早かったようで、
「とっても上手に踊れています。もっとうまくなると思います」と言っていただき、
先生に期待されたことが嬉しくて一生懸命練習しました。
さて、私が後に優れたダンサーになったかどうかはさておき(?)、
この教室、北海道の田舎にある、本当に小さなバレエ教室なのですが、
今、ここの出身者が海外の著名バレエ団で何人も踊っているのです。
先生の期待に満ちた言葉や眼差しが、子どもたちをやる気にさせ、
期待された子どもたちは実際にどんどん上手になっていく。
つくづくすごいことだなあと思います。
「サッカーチームというものは、美しい女性のようなものだ。
本人にそれを伝えなければ、彼女は自分が美人である事を忘れてしまう」
と言ったのは、イングランドの名門サッカークラブ「アーセナル」のベンゲル監督。
若手選手の育成に定評がある人です。
アーセナルの若い選手が才能を伸ばし、名プレーヤーになっていく背景には、
こうした監督の指導があるのだと思うと、納得です。
期待すると期待された人の能力が高まる、ということ、
教育心理学では「ピグマリオン効果」と呼ぶらしいですね。
映画『マイフェアレディ』でも、
このピグマリオン効果が再現されていると知りました。
「レディと花売り娘の違いはどう振る舞うかではなく、
どう扱われるかにあるのです」
という台詞、なるほどなあと思いました。