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「なぜ」と「なに」の思考法

「落ち込まないですね。いいことも、悪い事も、すぐに忘れてしまう。
ヘタすると、自分が今戦っている試合のスコアもわかっていないときがある」


落ち込みやすいタイプですか? 
というインタビュアーの質問に対して、
こう答えたのは、テニスの錦織圭選手。
「え? そんな感じなの?」と、驚きました。


錦織選手は、現在、世界ランキング9位。
世界ランキング1位のナダル選手との
マドリッド・オープン決勝では、
残念ながら、負傷で棄権してしまいましたが、
いやあ、強い!
そのプレー同様、コートの外でも、
ものすごい気迫の人なんだろうなあと
勝手に想像していたのです。


私の驚きは、さらに続きました。
今後の目標を聞かれた錦織選手は、
「どの試合でも、安定したプレーをすること。
調子のいい時、悪い時の差がないように。
いつも自分のプレーができるように」
と答え、
さらに、自身にとってテニスとは? という問いには、
「完全に趣味です」
と言い放ったのです。


そうなんです。錦織選手、力みがないのです。
そしてこれが、世界ランキングトップ10入りという、
とんでもないことを成し遂げた強さなんだな、と思いました。


以前、このメルマガでご紹介したことがある
『やってのける 意思力を使わずに自分を動かす』の著者、
社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソン女史は、
取り組む課題の難易度によって、
アプローチする際の思考法を変えるとよい、と述べています。


女史によると、「なぜ、これをするのか」を考える、抽象的な思考は、
小さな行動を大きな意味や目的に結びつけられるため、意欲を高めやすく、
単純作業や面倒な作業に取り組む時に有効な思考法なのだそうです。
確かに、「あと20枚も報告書を書かなくてはならない」と考えるよりは、
「キャリアアップにつながっているから」と考える方が、
モチベーションを維持できそうです。


一方、「なにをするのか」を考える思考法は、
難しく、不慣れで、複雑な行動や学習に取り組む時に効果を発揮するのだそうです。
達成が困難だと思える課題に取り組む時は、
「なぜ、これに取り組んでいるのか」という全体像を考えるよりも、
取り組みの具体的な内容のことだけを考えるほうが
乗り越えやすいということなのです。


そうか。錦織選手は、「なぜ、するのか」ではなく、
「なにをするのか」の思考法でやってきたのですね。
「世界ランキングトップ10に入るために、がんばろう」ではなく、
「このボールを打ち返そう。このセットをとろう。この試合に勝とう」と。
目の前のことに集中しているから、重圧を感じにくいのだなあ。


課題の難易度によって、アプローチする思考法をあえて変えるなんて、
考えたことがありませんでした。
ちなみに私、いつでも「なぜ」を考えがちです。
「なに」の思考法、使えるのかな。
「なに」に集中している間に、
「いや、ちょっと待てよ。私はなぜこれをやっている?」と、ならないかな。
少々不安ではありますが、「なぜ」と「なに」の思考法の使い分け、
試してみようと思います。

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