ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーです

ブログ

ディレクターの阿部が日々の気づきをつぶやくコーナーアベログ

校長先生のお話、おもしろかったですか?

先日、テレビをつけたら、
学園ものの映画かドラマが放送されていました。


ほかにいくつかのことをやりながら、
たまに画面に目をやる程度だったのですが、
ふと校長先生のお話のシーンに目が止まりました。
校庭に全校生徒が整列して、
校長先生が前に立ってお話しする、あれです。


ああ、全校朝会みたいなもの、ありましたよね。
ほとんどの場合、
校長先生の話はあまりおもしろくなく、長くて、
そのうち誰かが具合が悪くなって
保健室に連れて行かれていたような記憶があります。


でも、おもしろくなかろうが、長かろうが、
先生の話は聞くもの。
ましてや校長先生のお話はもっと真剣に聞くもの。
子どもの頃は、そう思っていました。


ところが、最近読んだ雑誌の記事で、
千代田区立麹町中学校の校長先生が
「それは違う」と言っていて驚きました。
「話を聞きなさい、なんて指導は、本当は間違っている」
と言うのです。


校長先生の名前は工藤勇一さん。
工藤校長によると、
「校長先生の話は生徒へのプレゼン」なのだそうです。


「中学校では、先生の話を聞いていないと、
聞いていなかっただろうと叱られる。
でも、社会に出て、話を聞いてくれなかった人を叱るなんてことはない。
相手が話を聞いてくれないのは、話している人に問題があるからだ」


さらに、


「中学校は社会で活躍する人材を育てる場だから、
校長先生の話を聞きなさい、という指導は違う。
相手が聞きたいと思うような話、話し方をしなくてはならない。
ビジネスの場では当たり前ですよね」


と語っています。


実際、工藤校長の「校長先生のお話」は、
パワーポイントを用いたビジュアル重視のプレゼンです。


たとえば、2学期の始業式、
壇上の画面に映し出されたのは砂時計の絵。


「夏休みが終わって、やることがたくさんあって嫌だな、
と思っているかもしれない。砂時計にたとえるなら、
上の部分にたくさん砂が残っている状態だね...」と、
砂時計にたとえて、これからやるべきことの話をしていく。


ああー、いいですねえ。
こんな校長先生のお話だったら、
ちゃんと聞いていただろうなあ...。羨ましいなあ。
なんて、思いましたが、いろいろ考えさせられますね。


「とにかく話を聞きなさい」では、
人はなかなか話を聞かない。
これは納得ですね。
相手が聞いてくれる伝え方をしなくてはならない。
これは本当にそう思います。
ただ、「ビジネスの現場では、
相手が聞きたいと思うような話し方をするのが当たり前」
というところは、
そうなっていないぞ、と思ってしまいます。


プレゼンのときは、相手を意識しますよね。
聞いてくれている人に届くように話すことを意識していると思います。
でも、普段の仕事ではどうでしょう。
「上司の話は聞くもの」
「社長の話は聞くもの」
話す側も聞く側も、あまり疑問を持たずに、
そう思っているのではないでしょうか。

だから、上司側は
「部下が話を聞いているように思えない」という感想を持ち、
部下側は、
「まあ、とりあえず聞いておこう」と、
理解できたかどうかをあまり考えずに聞くことになってしまう。
社長は「全社にメッセージが伝わらない」という感想を持ち、
社員は「この前、社長って何を言ってたっけ?」
くらいにしか聞いていない、なんてことが起こってしまいます。


では、伝える方が相手に届くように努力すれば解決するのかというと、
そうでもないような気がします。
やはり、聞く力も大事。
伝え方と聞き方のバランスが整うと、
お互いすごく通じ合ったように感じるのではないかなあという気がします。


そう考えると、中学校では、
伝え方と聞き方、どちらも学べるとすごくいいですよね。
いや、小学校から取り入れてもらえたら、もっといい。
そして、私たち社会人は、もっと努力しなくちゃいけないな。
そんなことを思いました。


千代田区立麹町中学校は、
公立の中学校であるにもかかわらず、
工藤校長を中心として、
変革に向けて新たな施策を次々と取り入れているようです。
中学校はこういうもの、という常識を捨てて、
社会に出る人材を育てる視点でさまざまな取り組みをする、
こんなすてきな学校が増えてくれたらいいなあと思いました。

これまでの記事

視点発見の旅
メルマガ【開-CAY】お申し込み

ご一緒に「視点発見の旅」へ!
メルマガは「開-CAY」で届きます

詳細を見る >>

「個人情報の取り扱いについて」

このページのトップへ