「決めつけ」を外して、リフレーミング!
リフレーミングという心理学用語があります。
いつもと違う見方や新しい見方で、
あることを捉え直すことを指します。
子育て本でもよく目にする言葉です。
人は、他人の長所よりも、短所のほうに目が行きがち。
いったんできていないところに着目してしまうと、
できていないことばかり目についてしまい、
その人のいいところが見えなくなってきます。
そこで、リフレーミングが必要になるのです。
以下は、ある小学6年生のグループが、
短所を長所にリフレーミングした例です。
うるさい→元気、明るい
おとなしい→人の話をよく聞く
あきらめがはやい→切り替えがはやい
集中力が続かない→いろんな発想が浮かぶ
心配性→確実
しつこい→粘り強い
すごい!
こんなに柔軟にリフレーミングできたら、すごくすてきです。
星槎大学大学院教育実践研究科准教授の阿部利彦さんは、
著書の中でこう語っています。
「リフレーミングは心のストライクゾーンを広げてくれる」
相手もいいところを見つけてもらうことで前向きになれ、
こちらも相手の見方が変わることでイライラすることが減って、成長できる。
親子でも夫婦でも上司・部下でも、そんな関係になれたらいいですよね。
さて、リフレーミングするときに邪魔になるもの、
それは「決めつけ」です。
主婦なのに、主婦だから、おじさんなのに、おじさんだから、、、。
世の中、さまざまな決めつけがあります。
「ゆとり」もその一つです。
職場でも、コミュニケーションが取りづらいなどで、
何かと話題にのぼってしまう「ゆとり」。
私は、バブル崩壊直後に社会人になっているので、
全然ゆとり世代ではないですが、何か悪いことがあるときに限って、
「しょうがないね、ゆとりだし」、
「わかり合えないでしょ、ゆとりだもん」などと、
世代を原因にしてしまう風潮はよくないよなあと思います。
何かがうまくいったときに、
「お、さすがゆとり!」とはあまりならないですしね。
これ、ゆとり世代にしてみたら、いやですよね。
ゆとり世代は、このことをどう思っているのだろうと考えていたら、
いい本を見つけました。
マエケンこと、前田健太投手の
『ゆとりの美学。力を抜くこと、サボることを恐れない』です。
マエケンは現在、MLBのロサンゼルス・ドジャーズの投手。
野球界ではスーパースターの一人です。
88年生まれで、ゆとり世代のど真ん中ですが、
野球一筋でやってきたので、世間が言う「ゆとり」イメージとは無縁。
ゆとり世代だと一括りにされたくないという気持ちがある、と語っています。
で、こうも言っているのです。
「ゆとりという言葉だけで捉えてしまえば、今の時代なら、
やる気がない、とネガティブなイメージを持つ人が多いかもしれませんが、
本来ゆとりは、余裕がある、窮屈ではない、という状態。
前向きなイメージが数多く含まれています」
「僕自身、心に余白を持ちながら野球に取り組むことで、
少なからず結果を残せてきたと断言できます」
そんなマエケン、投手であれば誰もが行うと思われる
「投げ込み」をしないのだそうです。
理由は、投げ込みをしたからといってスタミナが養われるわけではないし、
むしろ、年齢を重ねるたびに肩が消耗していくから。
単に前例に従ってばかりでうまくなるわけがない、とも考えているそうです。
野球界の指導者は、昔ながらの方法を大切にする人が多そう。
(↑わ、これ、思い込み、決めつけですね、、、)
実際、コーチ陣と意見が合わず、
とにかくやれと言われたこともあったようですが、
その場合は、投げ込み以外のことを誰よりも一生懸命やって、
投げ込みをしない理由を聞いてもらえる状態にしたと言っています。
妥協しない。
しっかりした理由があって「やらない」を選んでいるのだから、
まずはその理由をわかってもらいたい、というわけです。
これ、職場に置き換えてみたら、どうでしょう。
ゆとり世代であるだけで、
「まったく、ゆとりはサボってばかり」で終わらせること、ないでしょうか。
やることにも、やらないことにも、ちゃんと理由がある。
部下は「サボっている」のではなく
「もっといい考えを思いついた」のかもしれません。
ゆとり世代に限らず、一括りにして決めつけてしまうと、
悪いところがさらに目につくことになり、
リフレーミングもうまくいかなくなってしまいます。
一人ひとりを見て、コミュニケーションをとり、
成長し合える関係を作りたいですね。