引いて見る
「うまくできた!」と思っても、
一歩引いて全体を見ると「あれ?」と感じることがあります。
毎年この季節、私はこれを感じます。
花の寄せ植えをするからです。
春、園芸店に行くと、色とりどりのきれいな花苗が並んでいます。
あれもこれも手に取りたくなりますが、
あらかじめ「こんな感じ」というイメージを持っているので、
誘惑に負けずに花を選びます。
「こんな感じ」とは、色と形の組み合わせ方。
色は、白メイン、ほかに入れるのは同系色2色まで。
形は、こんもりメイン、脇役でシュッと直線。
なんとなくおわかりになるでしょうか。
過去に、「わ、きれい」と直感的に色と形を選んでしまった結果、
ちぐはぐな寄せ植えになったことが何度もあるので、
今年は決め事をつくってみたのです。
すると、鉢単体ではなかなかの出来映えになりました。
が、しかし、いざ設置してみると、なんだかイメージと違う。
周囲とのバランスが悪いのです。
花色はおさえたので、色のバランスはあまり気にならないのですが、
鉢の大きさとか、植物自体の大きさとか。スペースの空き具合とか。
なんだかスカスカな感じ。
でも、この状態から何かを足して解決しようとすると、
とてもおかしなことになることは経験からわかっています。
うーん、コーナー全体としての見方が足りなかったなと反省しました。
これ、すごく何かに似ているなと感じました。
制作物のデザインです。
例えば、社内報。
ピンポイントで見ていると、もっと色を足してにぎやかにしたくなる。
あれこれやってみて、ページとして見たら、まだ寂しい印象。
なので、イラストを足してみたり、スペースを文字で埋めてみたりする。
うまくいったと思ったが、いざ本にしてみると、ちぐはぐ感が、、、。
しかも、いろいろ足しすぎた結果、
肝心の情報が取り出しにくくなってしまった。
よく起こることです。
こうならないために必要なことは、一歩引いて全体を見ること。
そして、「そもそも、何だっけ?」を考えることです。
何だっけ?とは、ページやコーナーの役割。
ここを考えずに、「なんだか寂しい印象」を解決しようといろいろ足していくと、
たいていうまくいきません。
あ、これ、コミュニケーションでも言えるかもですね。
あまり考えずに言葉をどんどん足していくと、伝わりにくくなる。
一歩引いて見ると、相手や周囲の人の気持ちに気付くことができたりします。
引いて見る。大事ですね。