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「失敗していい」、ほんとに思ってる?

『失敗図鑑』という本を買いました。


この本には、ライト兄弟や夏目漱石、アインシュタインなどの「成功した」人たちが、
過去にいかに失敗してきたか、が書かれています。
イラストが多く、おもしろく編集されていて、
我が家の次男が喜んで読んでいます。
本当は長男が暇つぶしに読んでくれればと思ったのですが、
次男が読み終わったら、回してもらおう、、、。


なぜ、この本を買ったかというと、こんなことがあったからです。


半年ほど前でしょうか。
長男が「明日、中学校で枕草子の暗唱テストがある」
と教えてくれました。


聞くと、完璧に暗唱できたら合格、
少しでも間違えるとマイナスポイントがつくと言います。
息子は『冬』まで暗唱できるまであと一歩というところで、
なかなか完璧にならないと言い、
「だから『春』しか暗唱しない。みんなそうしてる」と呟きました。


「え? ちょっと間違えても全部暗唱するより、
一部だけでも正確に暗唱することが求められてるの?」
びっくりしてそう聞き返すと、「そうだよ」と。
あーあ、チャレンジしない若者養成か?、、、と、がっかり。


考えてみれば、
「失敗はどんどんしよう」とか「失敗から成功が生まれる」
などという言葉、ビジネスのサイトや本ではよく目にしますが、
実際はそんなに耳にしません。
むしろ、「ミスのないように!」は
毎日のように聞こえてくるように思いました。


東京理科大学大学院イノベーション研究科の高橋克徳教授によると、
日本人の若い世代(29歳以下)が
世界の中で突出して自分から踏み出していくことや、
リスクがあってもチャレンジすることに対して
慎重になっているのだそうです。


世界価値観調査を見ると、
「新たなアイデアを考え出すこと、創造的であること、
自分のやり方でできることが重要だ」という質問に、
60カ国平均が78.9%であるのに対し、
日本の29歳以下は45.9%しか肯定的な回答をしておらず、
「冒険することやリスクを冒すこと、刺激的な生活をすることは重要だ」
という質問には60カ国平均が62.3%に対して、
日本の29歳以下はわずか22.8%だと高橋教授は指摘します。


内閣府が出している「子ども・若者白書 平成26年版」でも
同じ傾向が見られるそうで、
日本の20代若者たちが特に、
ほかの国の若者たちよりも、自分の長所が見えず、
うまくいくかわからないことには意欲的に取り組めないと感じ、
未来は変えられないと悲観的になっていることがわかるのだそうです。


はぁ、、、とても残念でもったいない!
だって、若い世代が勝手にこういう思考になってしまうわけじゃないですもんね。
私も含め、周囲の大人や環境がそうしてしまっているのだと思います。
たまに「チャレンジしろ」と言いながらも、
無意識にチャレンジさせていない、、、。


では、大人が若い世代にチャレンジさせないのはなぜなのでしょう。


先ほどの世界価値観調査を見ると、創造的で自己主導的であることも、
冒険的でチャレンジすることも、年齢を重ねるほど
さらに肯定派の割合が減っていることがわかると高橋教授は言っています。


「新たなアイデアを考え出すこと、創造的であること、
自分のやり方でできることが重要だ」という質問については、
29歳以下で45.9%が肯定していますが、
30~49歳では37.8%、50歳以上では30.9%。
「冒険することやリスクを冒すこと、刺激的な生活をすることは重要だ」
という質問も、29歳以下で肯定しているのが22.6%に対し、
30~49歳では8.4%、50歳以上では5.6%と極端に低い数値なのです。


つまり、「最近の若手は自分から踏み出さない」「チャレンジをしない」と
言っている先輩世代、
上司世代ほど、実は自分から踏み出さず、
チャレンジを嫌っているのです。


お笑い芸人で、東工大の非常勤講師も務めるパトリック・ハーランさんが
ブログでこんなことを言っています。


「日本には『失敗が許されない空気』があるのではないでしょうか。
僕が日本で暮らしていて感じるのは『世間の目』の厳しさで。
特に失敗をおかした時の『世間の目』は他の国よりずっと厳しいと思う」


「アメリカでも失敗や間違いをおかした時には叩かれますし、
メディアも厳しく追及します。
でも半年くらい経ったら、周りは忘れていることが多いし、
本人も復活して、ちゃっかり再スタートしていたりする」


「日本人は和を保つことを優先し、周囲に迷惑をかけないよう、
自制して生きている気がします。
気を遣うのは素晴らしいことだけど、
『迷惑センサー』が敏感すぎて、
皆、どこかびくびくしながら暮らしていると思うこともある。
自分の立場をわきまえるあまり、
行動範囲を自分で狭めてしまっていると感じることもあります」


なるほど。「迷惑センサー」。
確かに、考えてみたら「迷惑」というレベルではないことも、
大げさに捉えられていることが少なくない気がしますし、
そもそも、実際に「迷惑」かかってないよね?と思うこともありますね。


うーん、、、、。
もっと寛容になりたいですね、人にも、自分にも。
完璧じゃなくたっていい。
いつもデキる人でなくてもいい。
いつもいい人でなくてもいい。
私たち大人がそう思えないと、若い世代もなかなか変わっていけませんね。

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