「コミュニケーション力」ってどんなチカラ?
「コミュニケーション力」
これは、新入社員がこれから「身につけたい」と思っている力のうち、
2015年以降ダントツ1位にランクしているもの
(リクルートマネジメントソリューションズ調査)。
また、経団連による企業アンケートでも、新卒採用で「選考に重視した点」の
トップが15年連続でこの「コミュニケーション力」です。
さらに、アデコが行った調査をみると、
米国、英国、ドイツ、イタリア、オーストラリアなど
13カ国の若者(18~30歳)に聞いた「将来の職業のために必要なスキル」は、
多くが「実務経験」と「外国語」を上位にあげているのに対し、
日本だけが「コミュニケーション力」を1位としています。
このように、日本人にとっては、とっても大事な「コミュニケーション力」ですが、
そもそも「コミュニケーション力」が何を指しているのかを考えると、
なんだか解釈がいろいろあるような気がします。
大阪大学教授の川嶋太津夫さんによると、
日本で若者の間で日常用語化している「コミュ力」とは、空気をうまく読んだり、
雰囲気を巧みになごませたり、うまくその場を仕切って回したりすることができる
対人スキルを指しているようだ、とのこと。
ちなみに、この4月から高校生になるうちの長男を見ていても、
彼や彼の友人たちが考える「コミュ力」がある状態は、
「空気が読める」だから「場の空気を乱す発言はしない」、
「相手の言うことをすぐに理解する」だから「何度も聞き返さない」ことのよう。
「滑舌がよく、話がうまい」ことも、含まれているみたいで、
つまり、その場の雰囲気に馴染んだり、盛り上げたりする力のことを
指すみたいです。やはり、対人スキルのことですよね。
では、企業側が考える「コミュニケーション力」は何を指しているのか。
川嶋先生は、「相手の話をきちんと聞き、
それに対する自分の考えを示しながら論理的に話し合う力」と説明しています。
そしてさらに、聞く・話す能力に加え、「文章を書く力」も
コミュニケーション力の中核と位置付けられていると話しています。
若者が考える「コミュ力」とはかなり大きなズレがありますね。
考えてみると、このズレは企業と若者間だけじゃなさそうです。
たぶん、同じ企業の社員同士でも食い違うのではないでしょうか。
たとえば、次の採用では経験よりもコミュニケーション力を重視するよう言われたとします。
実際、面接に立ち会う社員の中には「会話がスムーズな人」を求める人もいれば、
「飲み込みが早い人」を求める人もいる。
「明るく、社交的な人」を求める人もいれば、
「会話はスムーズではないが、じっくり考えて発言できる人」をいいと思う人もいる。
これ、まったくうまくいかないそうです。
そう考えていくと、「コミュニケーション力」なんていう言葉でくくっているのが
ダメなのかもと思えてきますね。
話す力、書く力など、ブレイクダウンして話し合わないと、かみ合いません。
なので、今後はたとえば会議で「コミュニケーション力重視」のような話題が出たら、
「それは何を指していますか?」と聞いてみるといいかもしれません。
あ、当然全員わかっているはずの空気をそんな質問で乱すと
「コミュニケーション力が低い」って思われてしまうのかな。。。
ややこしい!