五感にこだわる
テレビを観ていた次男が、
「フライドチキン食べたい!今!」
と叫びました。
パリパリの衣が特徴の
ケンタッキーフライドチキンのCMで
CM内で流れる「パリパリ」音がとてもおいしそうなのだとか。
後日、同CMを観ましたが、
なるほど、食べたくなる音でした。
ケンタッキー社の調べによると、
このパリパリ音には、脳の前頭葉に働きかけ、
ポジティブな気分をもたらすことにより、
食欲を増進させる働きがあるのだそう。
パリパリ音はお腹がすく音なのですね。
こうした食べ物を咀嚼する「音」に
最近注目が集まっているようです。
人気の背景には、「AMSR Autonomous Sensory
Meridian Response」と呼ばれる反応があります。
AMSRは直訳すると「自律感覚絶頂反応」で、
人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、
心地よい、またはぞわっとする
感覚や反応のことです。
今、多くのユーチューバーが、
専用のマイクを使って咀嚼音をクリアに拾った、
食べる動画を制作しており、
世界中で再生回数が伸びています。
この現象に注目した食品業界では、
より「音」にこだわった
商品開発が増えているそうです。
それにしても、なぜ、
咀嚼音が心地よさにつながるのか。
考えていたら、こんな調査を見つけました。
日本音響研究所が行った周波数分析によると、
スナックを食べる
「パリッ、ザクッ、ザクッ」という音は、
その波形が、なんと沖縄県・西表島の浜辺に寄せる
波の音と似ているのだそうです。
へえー!
自然の波の音に似ているから心地いいのか、
という単純なものではないとは思いますが、
「音」と気分の関係、とても興味深いと思いました。
咀嚼音に限らず、音にこだわった商品は、
以前よりも増えてきているように感じます。
私は昔から、電化製品にデフォルトで
設定されている終了音のメロディがあまり好きではなくて
ほかのメロディに変えたくても、
好きなメロディがない場合が多く、
仕方なく、シンプルな電子音にしているのですが、
大きな「ピーッ」という電子音も
そんなに気に入っているわけではないので、
もっとステキな音だったらなあ、
なんて思っています。
終了音だけでなく、スイッチ音なんかもそうです。
なので、スイッチ音に楽器音を取り入れた
バルミューダ社の電子レンジが発売になったときは、
「おおおー!」と思いました。
マーケティング業界では、
「感覚マーケティング」とか「五感マーケティング」
というジャンルがすでにありますが、
これからは聴覚のみならず、
消費者の五感に訴える商品が増えていくのだと思います。
館内の香りにこだわったホテルや旅館が
すでに評判を呼んでいますし、
自動車業界では、シートの座り心地はもちろん、
車内のスイッチのクリック感や押し込む深さなどにこだわって
開発された車も見られます。
そう考えると、もしかしたら、商品開発だけでなく、
たとえばプレゼンや社内のミーティングでも
五感にこだわることは大切なのかもしれません。
そんな目で見渡してみると、
いろいろなアイデアが浮かんできそうな気もしますね。