ぶつかったときには
先日、長男の高校の卒業式に参列しました。
高校生活の2/3がコロナ禍だった長男。
修学旅行や学園祭、体育祭など
ほとんどの行事が中止になりましたが、
卒業式は短縮プログラムとはいえ、
保護者参加で開催され、ホッとしました。
親からみると、子どもたちの中高6年間は
本当にあっという間なので、
入学式と卒業式は参加したい!というのが
願いなのです(次男の場合は小学校の卒業式も、
中学校の入学式も保護者の参加は許可されず...)。
さて、卒業式。
胸にコサージュをつけた卒業生が
先生と一緒に入場してくるところ、
名前を呼ばれて立ち上がるところ、
そして晴れやかに会場を後にするところは
やはりジーンときますね。
ヘアスタイルとマスクが同じ子が多く、
途中、長男を見失いましたが、
「みんな、すてきな人生をー!」と胸の中で
叫んでしまいました。
そして、校長先生が良いことをおっしゃった。
要約するとこんなことをお話しになりました。
君たちは、これからいろいろな人たちと
力を合わせていくことになる。
その人たちは、気が合う、
仲が良い友だちとは限らない。
考え方が違う人たちもたくさんいる。
ぶつかることもたくさんあるだろう。
でも、ぶつかったときこそ、
相手の話を聞いてみよう。
すぐに腹を立てたり、こちらの意見を押し通す前に、
相手がどんな考えで言っているのか、
しっかり聞いて、そこから会話してみよう。
いろんな解決方法が考えられるはずだ。
「新しいメッセージだなあ」と思いました。
はっきりは覚えていませんが、
今まで参加してきた卒業式で耳にした挨拶では、
「人とぶつかることもあるだろう」ということには
触れられていたとは思うのですが、
ぶつかったときの対処法に
「相手の話を聞く」とか「会話」は
なかったように思うのです。
ぶつかったときは、
「自分の意見を押し通さない
「社会では思うようにいかないことのほうが
多いのだから」という文脈で、
結局は「忍耐」とか
「我慢強さ」ということのほうが
大切だと言われてきたような気がしています。
なので、ぶつかったときは、
「相手の話を聞こう」という内容は
すごく新しく感じました。
そういう時代なんだなあ。
長男はいわゆるZ世代です。
彼らの特徴は、
「デジタルネイティブ」であること、
そして、「共感力」や
「多様性を受け入れる力」が強いこと
とされています。
LinkedInのグローバル調査によると、
Z世代にあたる入社2年以内の社員の
41%、実習生および学生の60%が
リーダーにもっと共感力を持ってほしいと
感じているそう。
リクルートマネジメントソリューション社が
Z世代の日本の新入社員を対象に行った調査では、
彼らが職場に求めることが
「お互いに個性を尊重しあうこと」
「お互いに助け合うこと」
そして、上司に求めることは
「一人ひとりに丁寧に指導すること」のほか
「相手の意見や考え方に耳を傾けること」
であることが明らかになっています。
彼らが、お互いの話を聞き、
助け合うことが当たり前と思っている
世代なんだなと改めて認識すると、
「なんじゃ、そりゃ」と思った
我が家の子どもたちの過去の言動も
理解できる気がしてきました。
さて、校長先生の話を聞いて、
時代の変化を感じたものの、
広く世界を見渡してみると、争いは尽きません。
相手の話を聞いたり、
会話するということとは程遠い状況に
言葉を失ってしまいます。
偉そうなことは言えませんし、
私も大人として責任はあると思うのですが、
集団と集団になっても、相手の話に耳を傾け、
会話で解決できるような成熟した世界に
早くなってほしいと思いました。
共感力が強く、対話力のある若い世代に
大いに期待したいと思います!