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「批判」ではなく「吟味」

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少し前のことですが、
新潟のある公立小学校の全校集会で、
校長がその場でChatGPTに質問し、その回答を
スクリーン上の自身のアバターに読み上げさせる
という演出をした、
という記事を読みました。

校長がChatGPTにした質問は
「AIが活躍していく世の中で、人間は何をすればいいでしょうか」
ChatGPTが出した答えは
「人間は人と協働していくことが大切です」
でした。

この斬新な演出、スクリーンを見ていた生徒からは
「すごい!」「気持ち悪い」など、
さまざまな声が出たようですが、

こんなことができる世の中で君たちは生きていきます、
そのために大切なことは何かをちゃんと考えましょう

と伝えることが校長の意図だったと想像するので、
生徒が驚くくらいの演出が
ちょうどよかったと思いますし、
私は、うちの子どもたちが
もう一度小学生になるなら(笑)、
こんな校長の学校に通わせたいと羨ましく思いました。

さて、この校長は、
ChatGPTを教育に積極的に取り入れていきたいと
考えているようですが、
教育現場でのChatGPT利用には
否定的な意見が多いようです。

とくに保護者からは不安視する声が大きく、
小学校3年生から高3までの子どもを持つ
保護者を対象にしたある調査では、
約6割が「子どものChatGPTの利用に不安がある」 と回答。 特に
「思考力の低下」や「誤った情報を信じてしまうこと」 を懸念する声が大きいようです。

我が家の子どもたちはデジタルネイティブと言われる世代。 ネットとともに生きてきました。
何でもググり、ずっとYouTubeをみています
(同じ世代だからといって、世の中の子がそんな子ばかりではありませんが)。

「思考力の低下」や「誤った情報を信じてしまうこと」は 確かに保護者として心配なことですが、

私的には、もうとっくにそうなってるのでは という感覚。

真実もそうでないことも
おもしろいこともそうでないことも
雑多な情報が流れているネットと
ともに生きているということは、 それに対して何もしなければ、思考力が低下し、 誤った情報を信じてしまうということ。

今後も、どんどん便利なツールが出てくることを考えると、 これはもう、ツールを制限するという対処ではなくて、
人の思考力をがっつり鍛えていくしかないのではないかと思います

何度かメルマガでも書いているのですが、
私は「自分ツッコミ」が必要だと思っています。

自分で、ある情報や考えに行き着いたとして、
「はい、オッケー」ではなく、
「いやいや、そんなわけないでしょ!」
「いいんですか?それで?」
とツッコミを入れる。
一度疑問視するということです。
すると、「あ、そんなわけないか・・」と気づき、
また調べたり、考えたりすることにつながります。

ツッコミ担当の人がそばにいればいいですが、
今の時代、周囲の人はいろいろ言ってくれません。
だから自分で自分を疑う力をつけていくしかない。

先日、これはいわゆるクリティカル・シンキング
というやつだと気づきました。

クリティカル・シンキングの和訳は
「批判的思考」
どうやら、この和訳が、
なかなかクリティカル・シンキングが
浸透しない原因なのではと言われているようです。

その理由は、日本人にとって
「批判」や「否定」はネガティブなことだから。
相手を攻撃するようなニュアンスが
前面に出ているので、
積極的に取り入れる動きにならない。

『世界のエリートが学んできた 「自分で考える力」の授業』
の著者、狩野みきさんによると、
「critical」という原語には、
「事の是非を判断するために、注意深く考え、分析する」
という意味があるそう。
なので、批判的という和訳では、
その部分が十分に伝わりづらいと指摘しています。

スマートニュース メディア研究所長の山脇岳志さんは、
編者として携わった書籍で
クリティカル・シンキングを
「吟味思考」と訳していたりします。

言葉による影響は大きいですね。
その言葉に出会ったときも、本当は、
「いや、批判的思考ってなんやねん!」
くらいで受け取れれば、
もう少し意味を考えたりすることにつなげられるのか・・・

そんなことをつらつら考えると、
やっぱり、時間的・精神的な余裕が必要なのかなあ、
と思えてきます。
たまに一歩下がって、ひいて見ること、
目の前のことでいっぱいいっぱいにならないことが
大切なのかもしれません。

1月ももう半ば。
体調に気をつけてまいりましょう。

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