正解のない問題には、意見があるだけ
食卓に並ぶさまざまな料理を、
リアルなイラストで表現し、
SNSで発信している山田めしがさんという方がいます。
ただ完成形を描くのではなく、
一口、また一口と料理が少なくなっていき、
最後は皿だけになるプロセスを
描いているのがユニークで、
見ている私も
全部食べたような満足感が得られるという、
なんとも不思議なイラストです。
最近では、McDonaldの月見バーガーや月見パイと
コラボした動画が話題になりました。
この方、調理師でもあるそうで、
料理と描くこと、
どちらも好きでたまらないのだろうなと
想像します。
さて、そんな山田さんには、よく
「どうやったら絵がうまくなりますか?」とか
「料理がうまくなるコツはなんですか?」
という質問が来るようで、それに対し、
山田さんはXでこうコメントしていました。
「ハッキリ言って答えようがない。
それより、私はこんな画材を使って
こんな感じの絵を描きたくて、こう描いてみたけど
うまくいかないのでアドバイスください、
とかのほうが答えやすい。
とにかく描いてから聞いてほしい。
作ってから聞いてほしい」
こうも言っていました。
「例えば一つコツをいったところで、
なるほど参考になりますって、行動に移さんでしょ。
簡単に描ける方法探すよりも、
苦戦しながらジタバタもがいて描き上げた作品の方が
上手い下手関係なく美しいし、
間違いなく画力は上がると思う」
ごもっともです。
サッカーをほとんどしたことない子が
「サッカーがうまくなるコツを教えてください」
と言ってきたら、
「まず、たくさんボール蹴ってみてください」
と言いますし、
水泳したことない子が
「水泳がうまくなるにはどうすればいいですか?」
と聞いてきたら、「まず水に入ってみましょう」
となりますもんね。
大人だったら「AIをうまく使いこなすコツは何ですか?」
とかでしょうか。
やはり「まず使ってみましょう」ですよね。
私も含めてですけど、きっと、頭のどこかで
「正解があるはずだ」「最短ルートがあるはずだ」
と思っているから、
こういう思考になるんだろうなあと思います。
自分でやってみて、「ああ、こういう感じね」
をつかんでもいないのに、
万人に共通する正解があるはずだ、と思ってしまう。
実際、「~~のコツ」「~~の正解」系の
タイトルがついた本、多いですしね。
試しにAmazonで「正解」というワードが
タイトルに含まれている本を検索してみましたが、
想像以上に出てきました。
「投資の正解」
「間取りの正解」
「人生の正解」
「話し方の正解」
正解を求める人が多いから、
これが正解ですという情報が多いのか、
これが正解です情報が多いから、
正解を求める人が多くなったのかはわかりませんが、
とにかく「正解」がいっぱい。
先日、ブロガーのちきりんさんの
『自分の意見で生きていこう
「正解のない問題」に答えを出せる4つのステップ』
(https://amzn.asia/d/2icBKSI)
なるほど、これはいい整理だと思ったので、共有します。
ちきりんさんは、こう言っています。
世の中のあらゆる問題は、
「正解のある問題」と「正解のない問題」に分けられ、
「正解のある問題」には
「正解」と「誤答」のみがある。
対して「正解のない問題」には
「正解」や「誤答」はなく、あるのは
「自分の意見」「Aさんの意見」「Bさんの意見」など、
さまざまな人のさまざまな「意見」。
「間違った意見」も「正しい意見」もない。
「正解のある問題」とは、たとえば、
国連加盟国の数は?とか、
前回の選挙の投票率は?など。
これらには正解があるので、
もしわからなかったら調べればいい。
調べれば正解がわかる。
「正解のない問題」とは、たとえば、
自分は結婚すべきなのか?
引っ越しをすべきなのか?
などの個人の問題や、
消費税をもっと上げるべきなのか?
移民をより積極的に受け入れるべきなのか?
などの社会問題など。ほかにもたくさんある。
これらには「正解」はなく、「意見」があるだけ。
だからネットで調べても正解に行き着くことはない。
この本は、世の中、正解のないことばかりなんだから、
意見を持っていないと生きていけませんよ、
自分の意見を持って、
自分で選択していきましょうと言っているわけです。
あたり前のことなのですが、
あらためて、そうだよなあと思いました。
正解風な意見があちこちにあるから、
正解のない問題でも正解を探してしまい、
正解風な意見を見つけて、安心する。
そういうことが起こっているのだろうなと思います。
安心したい欲ですよね、きっと。
それだけ不安が多い世の中ということなのでしょう。
さて、そんなことを呟いているうちに、
今日が仕事納めです。
仕事納まるのか。家の掃除はどうするのか。
正解のない問題を抱えています。
皆さま、今年も1年、メルマガをお読みいただき、
ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。