採用活動を終えて
昨日、1カ月少々にわたった採用活動を終えました。「終えた」というのは、具体的には、内定者を決め、内定しなかった方たちに対して、その旨の通知を行ったことを意味します。そういう次第で、このメッセージは、採用に至らなかった方たち宛に書いています。
自分で信じないことには始まらない「自分の可能性」
今回の募集活動で改めて知ったことがあります。それは、どうやら世の中では、未経験者に対する風当たりは、相当厳しいらしいということです。多くの方たちが「未経験者歓迎」という当社の条件を見て、この会社しかないという思いで駆けつけてきた。そのような印象がありました。しかし、残念ながら、これは当社の力不足なのですが、採用枠はわずか1名。ですから、せっかくご応募いただいたのに、大半の方たちに対してご期待に添えない結果となってしまいました。
「採用できかねる」という通知。これは、どう考えても、元気が出るものではありません。もし、ワタシがそれをもらったとして、やはり一種不愉快な、自分を否定されたような気持ちになるであろう、と思います。しかし、誤解を恐れずに書きます。自分を否定されたような気持ちになる必要は決してない、と。
企業側の言葉で言う「採用活動」はマッチングを見極めるための活動です。自社の価値観や業務内容、それを遂行するために必要な能力と、応募者の方の志向や価値観(企業によっては経験が合致しているかどうか)等を見極める。それが、採用という活動だと思います。応募者が複数いたなら、当然、その「合致度」を比較するのであって、良い人、悪い人と判断しているのではないのです。企業的な視点から書いてしまいましたが、これは応募者視点でも同じだと思います。自分がやりたいことができそうな会社かどうか、自分が求める文化や価値観がありそうな会社かどうか、それを見極める場が面接だと思います。
ここでワタシが言いたいのは、結果を通知するという宿命が企業にはあり、だからこそ今回も通知を行いましたが、通知を受け取った皆さんの中には、「話を聞いてみて何か違うと自分も思っていた。(だから、通知なんてくれなくてよかった)」という方も含まれれば、「話を聞いて、グラスルーツに入りたいと思っていたのに、悔しい」と思ってくださった方もいることと思います。前者の方、ただ単純にごめんなさい。破り捨ててくださればいいと思います。後者の方、繰り返しになりますが、自分が否定されたと思う必要はないし、自信をなくさないでいただきたいと思います。なぜなら恋愛と一緒で、一目惚れした相手との相性が必ずしもいいとは限らないですし、その相手がベストパートナーかどうかは別問題です。
なので、ワタシがお送りした紙切れ1枚で自信をなくす必要なんて、ないのです。
まず、自分には可能性がある。そう自分が信じないで、誰が信じてくれるのでしょうか。誰でも最初は未経験です。だからこそ、未経験者は採用してもらえないからと諦めてしまっては、何も始まらないと思います。当社が今回採用を決めた人も、社会人経験1年、業務経験ゼロの未経験者でした。信じる力の強さ。それによって道が開けたり、開けなかったりすると思います。まずは、自分を信じてください。
仕事探しは、自己分析から
未経験者の採用で、ワタシが見るのは、何をやりたいのか、本当にやりたいのか、なぜやりたいのか、です。つまり、漫然とやりたいと思っている方ですと、マッチングしているのかどうかの判断がつかないのです。明確な方だと、判断できます。もしマッチングしていなければ、それならウチの会社よりもこういう会社を受けた方がいいなど、アドバイスもできるというものです。ところが、未経験の方は経験がないゆえに、何をやりたいかがまず自分の中で突き詰められていなかったり、自分がこの仕事をやりたいという思いの「源」も把握できていない場合が多いです(全員がそうだったということでは、ありません)。もちろん、こちらもそれは承知しているので(なにせ未経験の20代なのですから)、「なに」という具体性が多少弱くても、一生懸命ヒアリングして紐解こうとします。
そうやって紐解いてみると、実は「あなたがやりたいのはデザインなのでは?」とか、「もしかして、制作がやりたいのではなく、コンサルをやりたいのでは?」などということがわかってきます。
自分の「源」がなぜ大事なのでしょうか。「源」といっても、別に仕事と直結した興味でなくてもいいのです。まず、単純にその「源」がずっと以前に始まったことなのか、昨日ふと思いついたことなのかは、思いの深さはかるヒントになります。また、たとえ昨日思いついたことでも、昨日のその体験が自分を変えてしまうほどのインパクトがあったなら、それでも深い思いは伝わります。
みなさんから出てきた「源」とは、たとえば、ずっと書くことが好きだった、みんなでモノを作り上げた体験が忘れられない、デザインにかかわる仕事をしたい、表現したり考えることが好き、等々です。それで十分です。けれど、好きであることだけでなく、行動や体験がより重要です。そして、あるときの体験Aと、次の体験Bと、さらにその次の体験Cとが、脈絡のある形でつながっていて、だからワタシは企画制作がやりたいのだと説明できるのが一番自己分析できているパターンだと言えます。
ところが、そういった自己分析を十分せずに転職活動を行っている方もいます。
それは、もったいない転職です。ここで、もし自分の選択基準を曖昧にしたまま仕事や会社を選ぶと、また辞めたくなる可能性が高いと思います。仕事を頻繁に変わっている履歴書になってしまうと、損することはあってもトクすることはありません。
多くの方は、未来のことは考えているようです。でも、過去を振り返ることで、自分が見えてくることもあると思います。
エラそうなことを書きましたが、ワタシ自身、20代の自分を今振り返るとわかっていないことだらけでした。しかも、わかっていないということが、わかっていませんでした。それでもね、本気の本気でやりたいことに向かって行けば、道は開けるというものです。いや、待て。そんなに人生は簡単にはいかないかもしれない。でも、案外、「神様は平等」。これは、ワタシの最初のビジネスパートナーが言った言葉です。神様は、がんばっている人のことをちゃんと見てくれているものだと言われて、ワタシも同感したのを今でも覚えています。
----以下、2/21付けの追記です----
オノです。書き漏らしたことがありましたので、補足させてください。採用の背景というか、当社サイドの事情についてです。
今回の採用は、若手のディレクター育成という大テーマの下に、社内の年齢構成の再構築という小テーマがありました。小テーマの位置づけは、もし「可能であれば」、現在の一番若いスタッフの下に後輩を作る、というものでした。一番若い社員の年齢は26歳です。しかし、採用というのは、やってみないとわからない面もあります。ですから、必須ではないけれど、「なるべく」という位置づけでした。
なぜこうしたことを考えるかというと、新しい人材を採用することによって社内に化学反応を起こさせたいからです。ですから、実際には、年齢だけではなく、性格や性別、その他諸々から、どなたに入っていただくことが最大のベターな化学反応につながるかということを考慮し、最終決定しています。実は、私は化学反応好きです。
さて、と。脈絡があるような、ないような話で恐縮ですが、この仕事では文章力は必須です。どうやったら、文章力が高まるのか、オノ式トレーニング方法について、近々ご紹介したいと思います。では