「エコポイント」施策から企業が学ぶべきこと
なんだかんだ前回予告したこととは違うことを書くことにしました。
5月15日から始まったエコポイントについてです。
その名称からも、また推進母体が環境省であることからも、環境改善促進のための活動であることは誰でもなんとなくわかります。報道では、「CO2削減」と「景気対策」の2つの意味で実施されると紹介していました。
ワタシは、CO2削減のためにこのプログラムを実施することを否定するつもりはありません。
でも、同じテレビ、同じ冷蔵庫でも、消費電力の大きい商品の方が還元されるポイント(金額)が高いのは、理念を正しく反映しているとは思えません。つまり、どちらかといえば大型で高額な商品は、その価格に比例して還元されるエコポイントも高いのです。
もしCO2削減を理念に掲げるなら、価格の安い小型の商品の販売をむしろ促進させるべきではないでしょうか。せめて大型でも小型でも同額のポイントが還元されるなら、率に換算したときに、思想との整合性がとれたと思います。
もちろん金額比例制が必ずしも悪いとはいえません。このプロジェクトの理念は「景気回復第一」であり、その名も「脱不況ポイント」なんて名前であるなら、今回の方法に異論はありません。高額商品が売れた方がいいのですから。その場合、あくまでエコは第一目的ではなく、第二の目的ということになります。
ちょっとしたことなのですが、こういうことは気持ちが悪いですね。たぶらかされた感じ、まやかしの感じがします。
でも、完全なウソではないのです。だからこそ、よけい気持ちが悪い。「ウソ」の方が悪さ度合いは高いのですが、「ごまかし」の方が性悪度合いが高い感じとでも言うのでしょうか。まあ、国民をごまかそうと思ったというほどのことではなく、カッコよくまとめたい官僚がいたのだろうと想像します。
さて、カッコよくまとめたいという心理…。これは、私たち企業人においても起こりえます。個人個人が自分の中にファイヤーウォールを張っていないと、簡単にスルーしてしまう。カッコ悪い立場より、カッコいい立場を誰だって好みますから。でも、7-8割の人は気に留めなくても、2-3割の人は違和感を覚えると思うな。カッコよくまとめたつもりが、実は2-3割の人たちに見破られてしまっていた。これは、実は一番カッコ悪い。
商品のローンチやブランドコミュニケーションでは、一番やってはいけないことだと思います。
その意味で今回のエコポイントはカッコ悪い施策の代名詞になりえますね。