脳が引き起こす固定観念。「赤くないとトマトではない」か?
こんにちは。グラスルーツ小野です。
前々回の記事で、ダイバーシティと固定観念の話を書きました。今日も、固定観念つながりで、小さな話題をひとつだけ。「脳」の働きと固定観念についてです。
先日、ラジオ「J-wave」を聴いていたら、青江覚峰さんという僧侶がインタビューされていいました。青江さんは、浅草で400年続く緑泉寺でお坊さんを務める一方、宗派を越えた活動を行うインターネット寺「彼岸寺」のメンバーの一員として、いろいろなイベントなども実施されている方だそうです。
おもしろいなと思ったのは、「暗闇ごはん」というイベント。ちょうどその時期に、ワタシがレストランで食べたメニューが同じようなものだったので、話がスッと腹に落ちました。
光のある場で、トマトを素材にして、コシたスープ状のものを出すと、人はそれが「トマト」であるとわからず、「きゅうり?」と聞く人が多いそうです。なぜなら、コシたトマトは赤い色がなくなって、透明になるからです。ところが、同じものを「暗闇ごはん」で出すと、ほぼ100%に近い人が「トマトでしょ?」とわかるのだそう。明るいところだと、人は「トマト=赤=赤くないものはトマトのはずはない」、こんなふうに感じるのでしょうね。
「脳」は、目から入る情報とクチから入る情報の両方を組み取って、そのバランスをとろうとするのでしょうが、なまじ情報源が増えると、既存情報/既存体験で補正する分、分析も間違えがちになるのかもしれません。
今年のゴールデンウィーク頃、東大のオープンキャンパスで視覚系の研究室のデモを見てきましたが、そのときも善くも悪くも人間の目や脳の補正機能には仰天しました。
けれど、そういった物事の認知が生理的に行われるからといって、誤認識を「脳みそ」だけのせいにするのは、悔しいものがあります。色が赤くないからと言って、トマトの場合もある。それを学習することで、先入観という壁を取っ払えたらいいですね。