言葉のチカラを信じる会社
おはようございます。グラスルーツ小野です。
最近、ワタシがよく感じるグラスルーツの特徴に「言葉のチカラを信じる会社」というのがあります。こう書いてしまうと、なんかカッコよすぎるのですが、実際はそのためにやっかいな面もあります。
「言葉のチカラを信じる」ということは、最適な表現、最適なコミュニケーションを常に考えるということですから、普通の会社なら流してしまうようなことでも、流すことができない体質であることを意味します。ちょっとしたことであっても、ちょっとしたことと思わずに時間を割くのです。
たとえば。
クライアントから「この商品がオンラインショップで売れている。多くのお客様が購入してくださるのだから、その良さを他のお客様にも伝えたい」とか、「営業部門のあるチームが、この取り組みで成功した。全社的に共有したいので、社内報で取り上げたい」と言われたとします。
これに対して、私たちはたとえば10通りぐらい伝え方をシュミレーションします。そして、どれが一番クライアントの意図に近いのかを探ります。
もちろん、私たちは決して不器用なわけではないので、そんなことをしなくても、ただ単にコンテンツを作ることは可能です。
ところが、何をどんな風に伝えるかによって、読み手の読後感はまったく変わってきます。「情報は伝わったが、狙った通りの読後感にはならなかった」では意味がありません。だからこそ、読後感の目盛りをどの辺に合わせるのか、そこにエネルギーを注いでいるのです。
また、情報整理と情報伝達をどう行うかという点でも、時間を費やします。たとえば…。そうですね、裁判員制度が始まったので、裁判に例えてみることにしましょう。
仮に、みなさんがレポーター(記事の執筆者)であるとして、裁判の判決をレポートするとします。被告人にABCの3人がいて、結果的事実が、
A:懲役3年
B:懲役3年、執行猶予5年
C:無罪
だったと仮定します。この情報をレポートする場合、みなさんならいくつぐらいのパターンを思い描きますか。
経験値から言って、言葉のプロフェッショナルか、よほど言葉に対して繊細さを持つ人でない限り、多くの人は、「被告人Aは懲役3年、被告人Bは懲役3年+執行猶予5年、被告人Cは無罪でした」の1パターンしか思い描かないのではないかと想像します。「そんなことない」と思った方は、恐らく言葉に対してプロフェッショナルに近い繊細さを持つ方なのではないでしょうか。
さて、この情報の伝達の仕方。実際には、いろいろな方法があります。「AとBは懲役3年の有罪。Cは無罪。ただし、Bは執行猶予5年となった」とまとめることもできれば、「被告人Aは懲役3年の実刑判決。無罪であった被告人Cはもちろん、被告人Bも実刑判決を免れ、執行猶予5年となった」とまとめることもできます。
重要なのは、伝える狙いをどこに置くかです。さらには、それ以前に流れていた情報をどう捉えるか等によっても、他にもたくさんのまとめ方があることでしょう。Cの無罪確定が世論の予想に反していた場合などは、同じ事実でも発信の仕方はまったく変わってきます。
こんな非日常的事例を挙げても、あまりそぐわないのかもしれませんが、実際、幅広いシュミレーションをして、ストーリーを選択しているということ。そんなワタシたちの心意気をお伝えしたいと思いました。
しかも、ワタシたちの言葉に対するこだわりは、何も請け負った業務に限ったことではなく、社内のコミュニケーションでも同じです。対話の中で相手が使っている言葉の意味や定義を、一語一語確認しながら話を進めたり、反対にそのプロセスがなく話が進むと「耳では聞いたが、腹に落ちない」ということが起きます。
悪く言えば、そうですね、「面倒くさい会社」です。
でも、そんな面倒なことにこだわりを持っているから、グラスルーツはグラスルーツなのです。そして、それは恐らく社長であるワタシ自身がそういうタイプだからなのでしょうね。
グラスルーツは、言葉にこだわるがゆえの「面倒な会社」です。でも、そこに他社との違いが隠れているとワタシは思っています。それをお客様から価値と感じていただけるようにならないとダメですね。
コミュニケーションの基本はやっぱり言葉。言葉のチカラを信じる会社でありたい。この思いは変えようがありませんね。ではまた