リーダーが語る「理念と数字」 - 新内閣発足の記者会見を観て
こんにちは。グラスルーツの小野です。
昨日、「明日は『アイデア・ダンプ』という本を紹介する」と予告しましたが、ちょっと気が変わりました。今日は「理念と数字」について書きます。
昨晩、民主党鳩山内閣の閣僚の記者会見が行われました。それぞれ、各省庁のトップであり、リーダーの会見ですから、ワタシは国民目線でテレビ中継を観た一方で、リーダー像という視点でテレビを観ていました。
ある程度、顔と名前が知られている著名な政治家の会見から始まりましたが、段々、顔は知っているけれど名前は知らない、顔も名前もよく知らない政治家になっていき、知名度のグラデーションを感じました。
ワタシは、サッカーファンではないので、違っていたらごめんなさい。2006年のワールドカップの後でしょうか? 日本代表の顔ぶれが大幅に変わったことがありましたよね? 知っている選手は数えるほどになって、ちょっとした戸惑いがありました。その感じに似ていますね。頑張ってほしいんだけれど、「誰だっけ、この人?」みたいな。
話を戻しましょう。民主党の新内閣。各大臣が、総理大臣から自分に渡されたミッションについて語っていました。つまりは、ミッションが文書化され、渡されたわけです。こういった文書は、今までもあったんでしょうか? あまり新内閣の会見で、このようなシーンはなかったように思いました。それが、少々新鮮でした。
各大臣とも、みんなそれなりにソツなく会見していました。けれど、「ソツがない」と、「わかりやすい」「印象に残る」というのは別のことです。
小沢さんから就任が反対されていたとされる財務大臣の藤井さん、会見の内容がわかりやすかったですね。極端に言えば、菅さんや岡田さんより、ポイントを押さえていて明瞭でした。突然聞かれたことに対しても、予め用意した言葉ではないのに、自分が昔、大蔵省に入省したときに先輩から言われた言葉を引用するなどして、言葉がアクティブになり、重みが増しました。アドリブの成せるワザです。
様々な大臣の会見を観ながら思ったのは、リーダーは「数字的裏付けよりも理念を語ること」がいかに大切か、ということ。そして、その次に大切なのが「数字的裏付け」です。
財務大臣の藤井さんは「福祉経済」ということを言いました。これは理念です。理念自体には共感するものがありましたが、数字については、未知数です。それでも「これをバラマキと言う人もいるが、これはバラマキではない」と言い切る姿を見ると、裏付けがまだ明瞭にわからなくても、国民の一人としては「そうなのかな?」と耳を傾けたくなります。
つまりは、そのぐらい、まずは理念が大切だということなのかもしれません。けれど、自信を持って藤井さんが理念を語っているのも、恐らくはある程度、数字的裏付けを持っているからなのだと思います。そうでなければ、ただのほら吹きですからね。
リーダーは主張も必要。聞く耳も必要。そのバランスをどう取るか、リーダーの力量はその辺りで分かれるのかもしれません。
そういう視点で、ちょっと自分自身を戒めてみたのでありました。
明日は、今日、見送ってしまった「アイデア・ダンプ」という本について、紹介します。ではまた