アイデア・ダンプ
こんにちは。グラスルーツの小野です。
今日は、一昨日予告したのに見送ってしまった「アイデア・ダンプ」(著:<中山マコト、刊:中経出版)という本を紹介します。この本は、グラスルーツの元スタッフが教えてくれた本です。「企画」を学ぶ上での参考になった、と。
この本は、わずか100ページにも満たない薄い本なので、アマゾンのレビューなどでも「買おうか、どうしようか、迷った」などと書かれています。いわゆるアイデアを出すための、脳トレ的な内容であるのは確かですが、一昨日、ご紹介した書籍「デザイン思考の仕事術」</a>とも通じる考え方に溢れています。つまり、対象の本質に対してどのようにアプローチすべきかのヒントを与えてくれます。
ユーザ像を描くために、徹底的にその生活シーンを想像し、ユーザの気持ちを何十、何百のメモとして書き出すあたりは、「ペルソナ」をつくる考え方に近いものがあります。また、そうやって書き出した項目をグループ化する辺りは、「KJ法」と似ています。
「ダンプ(dump)」というのは、「(車からごみなどを)どさっと落す」「吐き出す」というような意味だそうです。
そして、そのタイトル通り、この本は、たくさんのアイデアをいかにして吐き出すかの方法論を紹介するという形をとっていますが、実は、その方法論以上に、上に書いたようなアプローチに関する考え方そのものの方が、より重要ではないかと思いました。
中山さんのやり方の特長は、いきなりアイデアを出すのではなく、メインテーマのアイデアダンプの前に、「誰に」「どのようなメリットや解決方法を提示するのか」、それを明確にするためのダンプを行っている点です。
一昨日、「丁寧に仕事をする」という理想を追求したくても追求しにくい環境にあるという現実に対して、いかにコンパクトに理想のエッセンスを仕事に取り入れるかが重要ではないかと書きましたが、まさにこれはその実践例であると思いました。
また、おとといご紹介した「デザイン思考の仕事術」はグループワークのお手本でしたが、今日ご紹介する「アイデア・ダンプ」はむしろ一人で企画立案しなければならないときに、どうやって臨むかの好事例です。
丁寧な仕事のやり方は、ほかにもいろいろあるかと思います。自分なりのやり方を見つけ出すことが大切なのですね。そして、それが組織だって行われたときに、それは強力なパワーになる。2冊の本を通じて、そんなことを考えさせられました。
ではまた