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花祭りに思う『吾唯足知』の意味深さ

池上本門寺(上)と龍安寺の「吾唯足知」(下)
 週末は、少し肌寒い天候でしたが、お花見に出かけた方も多かったのではないでしょうか。私も、友人宅を訪ね、池上本門寺の桜を見に行きました。
 4月8日はお釈迦様が生まれた日ということもあって、池上本門寺は花祭りを行っていました。以前から、仏教には多少興味があったのですが、年々きちんと本を読むなどして、仏教に触れてみたいという思いが強くなっていっている気がします。

 さて、話は前後しますが、1週間ほど前、グラスルーツの卒業生で今は3ミリデザインというデザインオフィスを立ち上げた望月さんに、あるプロジェクトのデザインを依頼する中で、仕事とは関係ない雑談になりました(メールで)。
 ワタシが、しゃちょーとして自分に何ができるのかとか、ワタシ自身が生きている意味ってなんだろうということは常に考え続けているということをポソッと書いたら、次のメールの中にこんなことが書かれていました。

「私は『吾唯足知』という言葉が好きでよく思い出すんですが、自分にはいろんなものが足りない、って思うんじゃなくて、今の自分が100%で、その今の自分で、何が出来るか考えなさい、みたいなことらしいです」

 テキストとしてこう書いてしまうと、生き方論の会話のようで、ちょっと重そうな感じがありますが、そんな感じではなくて、楽しい雑談でした。

 『吾唯足知』。ここで出て来たこの4文字、なんと読むかご存知ですか? 実はワタシも知らなかったので、教えてもらいました。「ワレ タダ タルヲ シル」とか、「ワレ タダ タルコトヲ シル」と読むらしいです。釈迦の遺言とも言われる『遺教経』(ゆいきようぎよう)の中に知足の心というのが書かれているそうですが、『吾唯足知』という言葉はむしろ龍安寺のつくばいに書かれている文字として広く知られているようです。「クチ」の文字を中心に置く形で4つの文字が、図案的に石に刻まれています。とてもクリエイティブですよね。暗号的ですらある。

 この『吾唯足知』。ネットで見かける解釈の多くは、「満足することを知っている者は貧しくても幸せであり、満足することを知らない者はたとえ金持ちでも不幸である」というようなものです。要は「隣の芝生は青く見える」というようなことでしょうか。
 で、望月さんは、一般的には、経済的な豊かさと満足についての意味合いで受け止められている傾向があるけれど、それだけを言ってるものじゃない気がしていると書いてきました。

 釈迦の言葉だけでなく、あらゆる芸術もそうですが、解釈は発信者の意図とは別に自由に成り立ちます。発信者の狙いはあるのでしょうが、解釈を委ねる度量があるものほど、人々は惹き付けられますよね。
 ワタシも望月さんと同じように、この言葉の意味についてしばらく考えました。ワタシも望月さんと同じように、経済的豊かさと満足感ということ以上の意味があるのではないかと考えたからです。

 そして、ワタシが至った考えは;
「足ることを知る」とは、1)どうしたら自分が満足するのか、その理想像を知ることなのではないか。と、同時に、2)現在の自分の到達点(自分ができること、できていること)を知ることなのではないか。そのように考えました。理想像があって、そこに到達できていないありのままの自分を素直に受け入れて精進する。しかも、理想像は永久不滅のものではなく、自分が進歩すればさらに高い理想を描くので永久に到達できないものです。それを知りながらも、少しでも近づけるように謙虚に修行するというような意味なのかな?と、そんなふうに受け止めました。
 そうであるなら、2)の観点は「足らないことを知る」のではないというのが、とてもポジティブだな?と思います。できること、できていることを知れば、その差分でできていないことが自ずとわかるわけですが、最初からできていないことを考えるのと、できていることを知って、その差分でできていないことを知るのとでは意味が違う気がします。ありのままの状況や自分自身を素直に受け入れるという意味で。

 以上はあくまで解釈です。釈迦の真意はわかりません。でも、こうやって、意味を考えてみるだけでも、何か与えられたような気持ちになりますね。釈迦からも、望月さんからも。

 龍安寺のつくばい。たった4文字なのに、ここまで哲学的であること、そしてデザインとしての創造力、どちらにも敬意を表したいです。そのうち見に行きたいなと思います。
(写真上:池上本門寺、写真下:龍安寺のつくばいの文字「吾唯足知」)

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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