[2010.12.13]
言葉によるコミュニケーション比率は下がっていくのかもしれない
こんにちは、小野です。
週末の土曜日に家のDVDレコーダーが壊れ、ヨドバシカメラにレコーダーを買いに行きました。今日は、その買い物を通じて感じた世の中の変化の兆しについて書きます。
本題の前にヨドバシカメラのCSの話を少し…
さて、本題に入る前にその背景を知っていただきたいので、ヨドバシカメラで感じたCS(顧客満足)に関する話を先に少しだけさせてください。ニュースなどデイリーで番組を録画して見ているワタシにとって、録画ができないというのは痛手です。ワタシの家から新宿のヨドバシカメラに行くには、渋谷で乗り換えなくてはならず、決して最寄りの量販店というわけではありません。それでも敢てヨドバシカメラに行ってしまうのは、毎回訪問するたびに店員の方の豊富な商品知識と顧客対応の良さに感動するからです。それもただの満足を超えて、大抵「感心」「感動」して店から出てきます。
今回も感動したのは、わが家の環境だとCATVが提供するレコーダーを付けなければ録画できない(録画できる保証がない)ことがわかったにもかかわらず、どうすればいいかを熱心に教えてくれたためです。つまり店頭商品を売れない相手だとわかった上で丁寧に説明してくれる姿勢にまず感動。しかも、ご想像の通り、AV機器の相談は、普通の商品の相談よりもはるかに時間がかかります。ワタシが自分の状況や要望を上手に説明できなければ、相手も適切なアドバイスができないからです。その点、ヨドバシカメラのヒアリング力とコンサル力はとても高く、他の量販店では味わったことのない体験をするので、またまた感動するのです。
モバイルデバイスがもたらすメリットとそれに対する小さな危惧
さて、ここからが本題。実は、ワタシは来店するにあたって最近買ったばかりのiPadを持って行きました。というのは、現在家で使っている機器が何であるのか、何と何を接続しているのかをお店の人に示すのに、言葉だけでは自信がなく、WEBの画面を見せるのが早いと思ったからです。別にマニアというわけではないのですが、わが家のAV機器の配線はマニュアルを作っておかなければわからなくなってしまうくらい、ちょっと複雑なのです。
複雑な情報を説明するときに、ひと目見ればわかるものがあるのと、言葉だけで説明しようとするのとでは時間のかかり方が数倍、いや10倍ぐらい違うのではないでしょうか。iPadはワタシが自分の状況を説明するために大活躍しただけでなく、ヨドバシカメラの店員さんがワタシに説明しようとした「なぜ無理なのか」「どうしなければならないのか」を説明するにも役立ちました。彼は「ちょっとお借りしてもいいですか?」といってワタシのiPadを使いながら、情報を検索し、テクニカルな理由やワタシが取りうる選択肢を提示してくれたのです。
この話を聞いて、皆さんはどう思われましたか? ワタシが感じたのは、複雑な話というのは何もAV機器の説明だけではない、ということです。モノではなく目に見えないサービスも然り、保険や金融商品もしかり、IT系システムの話もしかり、年金や介護などの制度もしかりです。iPadなどのモバイルデバイスは、複雑な内容の説明の時間を10分の1に短縮し、10倍わかりやすく説明可能とするツールだとつくづく感じました。
一方で、メリットの裏側で感じた小さな危惧もあります。目でわかるツールがあると、会話の中に「これ」とか「ここ」「この」などの指示代名詞が増えます。言葉に対して横着できるわけです。言語による意思疎通の比率が下がり、視覚によるコミュニケーションの比率が高まっていくとどうなるのか。言語脳の退化が起こるのではないかと、そんな予感がしました。便利なものは、四の五の言わずに便利なのです。でも、言葉で仕事をしている人間として、そんな時代に向かうかもしれないことについて、しばし立ち止まって考えてしまいました。