[2011.03.07]
伝えることに情熱を!?「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」を読んで
こんにちは。小野です。
今売れている「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」(カーマイン・ガロ著、日経BP)を読み終わりました。厚さ約2cmのボリュームがあるこの本、2度も3度も読み返す価値があると感じたので、紹介します。とてもおもしろかった。
スティーブ・ジョブズといえば、アップルのカリスマ的創業者であり、ショーマン的なプレゼンを行うことで有名です。
この本は、「人を惹きつける18の法則」というサブタイトルがつけられている通り、プレゼン研究本という印象を与えますが、12万部を突破して売れている理由は、単なるノウハウ本として特別なことが書かれているからではないと思います。
ワタシなりに売れている理由を考えてみると、
・コツではなく、伝えるとは?コミュニケーションとは?について考えさせられる。
・伝えることへの情熱的な姿勢に感動する。
仕事の7割以上の時間は、コミュニケーションに費やされていると言われています。コミュニケーションというのは、「伝えて」なんぼではなく、「伝わって」なんぼです。ワタシが「言ったはずだ」「言いましたよね」という台詞があまり好きではないのも、伝わらなかった理由を相手の責任にしたくないからです。
私たちはとかく短絡的に考えて、スティーブ・ジョブズといえば、カリスマ経営者であり、そんな人だから優れたプレゼンできるのだと思い込みがちです。しかし、ジョブズは入念に準備をし、計算されたシナリオをつくり、練習に練習を重ねて、今のスタイルを確立した。
では、なぜ、そこまで伝えることにエネルギーを注いできたのでしょうか? それは、発表することが目的ではなく、聞いた人に「伝わって」なんぼだということをきちんと理解していたからだと思います。あるいは、オレたちは半端ではなくすごいものをつくったんだぞと思っているので、本当にどれだけすごいかを知ってもらい、共感してほしいという思いから、そこに商品をつくるのと同じくらいの情熱を傾けていると言えるかもしれません。
この本の316ページに、一流のトップアスリートやチェスプレイヤーなど、世界的に活躍するレベルの人たちは意識的に練習をしていることが研究で明らかになっている、とありました。あのチャーチルでさえも、です。
ちなみに、世界的なレベルに達するには、「1万時間」が必要だそうです。<b>最初から達人である人は存在せず、時間をかけたかどうかで決まる。</b>このシンプルな事実に、読者は勇気をもらい、この本が売れているような気がします。
企業のコミュニケーションに関わる仕事をしているワタシは、この本をどんな人に一番勧めたいかといえば、やはり企業経営者です。社長がコミュニケーションに情熱を持つことで、顧客も社員も株主も、その思いを共有できます。スティーブ・ジョブズのように話せなくても、伝えたい気持ちは「伝わる」。伝えることに情熱を持つこと。とても共感しました。