ブランディング、コミュニケーション、チームワーク…。週1回の社長ブログです

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震災で学ぶ企業コミュニケーションの「お手本」はどこ?

 

こんにちは。
 
ゴールデンウィークはゆっくり過ごされましたでしょうか?
ワタシは蓼科に2泊してきました。気候も寒からず、暑からずで、心地よかったです。
 
震災から2カ月が過ぎて、人々の関心や報道も多少変わってきた感があります。残念ながら、建設的に前に進んでいる感じがしないのは、政権の統治能力のせいでしょうか。
 
 
■違和感のある企業のお見舞いメッセージ
 
さて、震災に伴う企業のコミュニケーションで1つだけどうも違和感のあることがあります。それは、テレビコマーシャルやサイトなどで使われている決まり言葉「被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます」です。
 
テレビCMでこの言葉を耳にしたとき、心の中でちょっとしたザラつきを覚えました。原因は何なのか。それは多分2点あります。
 
1点目は、このフレーズの持つ「他人事」なニュアンスが、社会の空気に合っていないように感じたのです。復興すべきはもちろん第一義的には被災地ですが、日本全体がゼロから再出発しないといけないような事態だと多くの人が感じているときに、他国や海外企業がそう言うならともかく、自国の企業がそういう語り方をすることに違和感があったのです。
今後のエネルギー政策も不透明な中、世界各国はリスク回避のために地震国日本との取引に消極的になり、まだ見えていない経済的な打撃がボディブローのように効いてくるでしょう。被災地の復興だけでなく、日本の困難な状況をどう思い、どう立ち向うのか、勇気が出るようなメッセージを人々は求めているような気がします。
 
2点目は、各社が発信しているメッセージが似たり寄ったりであるために、どうしても横並び意識から生まれた形式的なものに思えて、真心がこもっているように映らないのですね。このように各社のメッセージが同じになってしまうのは、日本的慣習としてわからないではありません。慣習をベースに物事を判断するので、経営者や企業のコミュニケーション部門に属する人々の間に、主体性のあるメッセージを伝えることこそ重要だという意識が持たれにくいのだと思います。
しかし、メッセージというのは、本来、伝えたいという意志を持って伝えるべきものです。ですから、メッセージの内容が「被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます」で終わらずに、たとえば「がんばろう日本」だったとしても、またまた各社共通であったなら、あまり意味がありません。自社の思いというものに、もう少しこだわって発信してほしいと思います。
 
 
■トヨタは好事例の代表格
 
トヨタ/豊田章男社長の震災メッセージしかし、お手本となる事例もありました。ひとつは、トヨタです。
トップページのメッセージから「全文はこちら」をクリックすると豊田章男社長のメッセージが出てきます。
 
(以下引用。前文省略)
 
 今回の天災は、従来のものと異なり、被災地域が広範囲に及んでいることから、経済的影響は、日本全体、全ての産業に及んでおります。弊社でも、震災発生直後から、従業員が現地に入り、工場、販売店、仕入先の方々と一体になって、復旧に向けた活動を実施してまいりました。私も何度か被災地を訪問し、彼らの活動を直接見てまいりましたが、この「現場のすさまじい努力」が、一日も早い生産回復を可能にするものと確信しております。
 
 自動車産業は、裾野が広く、与える影響が大きいため、少しでも早く、正常化を進めなくてはならないと考え、全社を挙げて取り組んでおりますので、どうぞご理解、ご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 
 
 厳しい現実認識に基づく責任感溢れる決意表明です。好感を抱いただけでなく、とても勇気づけられるメッセージだと思いました。それほど長い文章ではありませんので、できれば全文を読んでみてください。
 
 
■行動を見せて伝えるソフトバンクのやり方
 
ソフトバンク/『やりましょう』進捗状況もうひとつの事例は、ソフトバンクです。
 
トヨタとは異なり、孫社長からのメッセージ文は掲載されていません。言葉でメッセージを出しているというよりも、行動を見える形にしてメッセージを発信しています。同社サイトの中に「『やりましょう』進捗状況」というコーナーがあります。
 
孫社長がTwitterで「やりましょう」とつぶやいたことが、その後どうなっているのかを発信しています。トヨタとはスタイルは異なれども、経営者としての責任感やコミュニケーションを重んじている姿勢が十分に伝わってきます。このコーナーは、元々は震災支援のためのコーナーではありませんが、最近は、特に震災がらみの「やりましょう」が増えていましたので、事例とさせていただきました。
 
 
 
企業のコミュニケーション意識が薄いと書きましたが、実は、どの企業もとても素晴らしい使命感や真心を持っています。ただ、残念なことに「伝え下手」です。
企業のことを「法人」と言いますが、「人格」が感じられるメッセージを発信しないのは、真心が伝わらずもったいないと思いました。みなさんは、どう思われますか?
 

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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