社長就任時や新年度、社長メッセージでやってはいけない5つのこと
こんにちは。
社内広報の仕事をしていると、トップのメッセージについて、ご依頼やご相談をいただくことは珍しくありません。今までの例を見せられて、感想を求められることもあるのですが、時として内容に疑問を感じるケースがあります。そこで、今回は、年頭や新年度、社長就任時に社員に宛て発信するメッセージのあり方について、考えてみたいと思います。
新年度のメッセージで現状やこの1年間について振り返る、これ自体は極めて一般的なことです。しかし、1年の間にかんばしい成果が出ていない場合、しかも、それは外的要因、すなわち経済情勢と無関係でない場合、経営者の心境は複雑なものになるものです。
最も悪いのは、「現在の社会的経済情勢は、非常に厳しいものがある。この1年間も、また現在も、できる限りの手は打っている。しかし、残念ながら、まだ成果が出ていない。」というニュアンスで書き出してしまうことです。メッセージの冒頭で、このようにネガティブに語りかけてしまうと、気分はもうブルー一色。その先を読みたくなくなります。しかも、言外で「これは仕方なかった」「自分のせいではない」と語っているようにさえ聞こえます。その後で「現在の方針に従って、着実に計画を実行すれば、必ず成果が出ると確信している」というようなことが書かれてあっても、社員は「信用できない」と思うのではないでしょうか。
しかし、このパターンはどこかで見たことがある、と思いませんか。それは、IRレポートにおける社長から株主に向けた挨拶文です。たとえば、「今期の経済情勢は大変厳しいものがありました。こんなことも、あんなことも起きました。そんな中、当社としては利益を確保すべく、徹底したコスト削減など、様々な努力をいたしましたが、残念ながら減収減益の結果となりました」というような流れの挨拶文を目にしたことはないでしょうか。このような文脈での挨拶文がIRレポートで多く見られるのは、業績が悪いときには、株主に対して「神妙な姿勢」を示すべきという考え方が根底にあるからなのだろうと思います。
私はここで、IRの挨拶文のあり方を語ろうと思っているわけではありません。もし、IRレポートのような形式をひな形にして社員に向けたメッセージを作成しているのであれば、それはいかがなものかと思います。そうでなかったとしても、社員に向けたメッセージの書き出しが、「厳しい経済情勢」から始まるのは論外ではないでしょうか。
年初や新年度に向けた社長メッセージは、どんな状況にあっても「ネガティブな印象」で終わるものであってはいけません。一方で、単なる「楽観」や「カラ元気」で終わってしまっても、それはそれでNGです。
社長メッセージを書くのは、社長本人の場合もあれば、社内広報担当者の場合もありますが、真摯かつポジティブなものにまとめたいものです。もし、自分が社員ならどう感じるか、その気持ちに立てばわかるのではないでしょうか。
ありがちな問題点を挙げますと、
社長メッセージでやってはいけない5つのこと
1.社員に要求ばかりしている内容である。
2.言いたいことが多すぎて、何も心に残らない。
3.経営者の視点での話になりすぎて、社員の視点でない。
4.「上から目線」の印象を与えている。
5.ネガティブな印象になってしまっている。
社長メッセージを軽んじていると、痛手を被ります。しかも、一度信頼できないイメージができてしまうと、挽回するのは相当難しくなります。特に、就任当初のメッセージは、選挙戦に臨むぐらいのつもりで取り組む。それが、今の時代に必要な経営感覚ではないでしょうか。
<追記>下記に「社長就任時、社員の心をつかむスピーチ・原稿の作成のポイント」(2014年3月31日付)を掲載しています。https://www.grassroots.co.jp/blog/monolog/2014/03/140331.html