超一流の人のスゴさとは?〜落合博満氏の「采配」を読んで
落合博満・前中日ドラゴンズ監督の著書「采配」を読みました。現役時代に三冠王を三回、8年間の監督時代には優勝4回、日本一1回という偉業を成し遂げたことは、ワタシが紹介するまでもなく、皆さんもご存知のことでしょう。そんな落合氏が説くのは「勝負の方程式」はあっても、「勝利の方程式」などないということ。そして、言外にチームのプロ意識の総和がチーム力になる、だからこそ徹底的にプロ意識を育てた、と語っているように思いました。全体的には、ダイヤモンド社から出すだけあって、ビジネス書であり、一種の自己啓発本という印象でした。
では、いったい氏の考えるプロ意識というのは、どのようなものなのか、残念ながら、ずばり一言で語っている文章は見当たりませんでしたが、自分で自分のビジョンを描き、何らかの存在感を作り上げるために、自らを成長させようとすることだ…、ワタシはそのように解釈しました。
印象的だったのは、「向上心」を抱く程度ではダメだとして、「野心」を持つことが必要だと語っていた点。人は誰でも年々成長していると実感したいと思っていますが、「日本で一番の○○になる」「社内で一番○○に強いと言われる人になる」などと考えている人は、多くありません。でも、自分でそう思わないことには、なれるものもなれません。その当たり前のことを、改めて認識させてくれました。
氏は、人は誰でも3つの戦う段階があるとし、「自分」「相手」「数字」の順で戦いに直面するとしています。自分と戦う段階で、他責であったり、結果が出ない試合の後に「気持ちを切り替えよう」と考えるだけで、自己分析をしなかったりするようでは、自分との戦いには勝てないと語っていたのも印象的でした。また、数字との戦いで勝つには、『「達成するのは不可能ではないか」という目標を設定すること』が不可欠だと言い、打率3割を達成する選手は3割3分を目指すが、3割を目指す選手は3割に到達することはないとも語っています。
総じて共感することの多い内容でしたが、優れた指導者はこのような意識をメンバーに植え付け、その成長を支援するものだという考えに、賛同はできても、実践は簡単ではないと感じたのも事実です。それでも、超一流と呼ばれている人とそうでない人の違いは、とても真っ当なことをコツコツと地道に継続できるかどうかだけだと思えたので、できることから「真似」してみようと思いました。
模倣とはまさに、一流選手になるための第一歩なのだ。
落合博満著「采配」より