ありがとう、多摩高!
こんにちは。
昨日、ワタシが卒業した高校から、同窓会報が届きました。モノクロ16ページのその会報、普段はあまり読まないのですが、昨日は日曜日だったので、ふとパラパラとページをめくりました。その中に、今年の秋から校舎の立て替えが始まるとありました。3月に行われた同期会でも、その話は聞いていたので、それ自体は驚きませんでしたし、むしろ、この時代になっても、当時のまま2階建ての校舎が4棟並んで立っているということの方が、不思議なくらいです。
ワタシの母校は神奈川県立多摩高校。湘南高校などに比べると、全国的な知名度は低いものの、県内ではそれなりに知られた高校です(俳優の三上博史さんも卒業生です)。会報に寄せられている卒業生の寄稿を読みながら、なんだかふと、自分自身のアイデンティティを再確認させられました。
最近卒業した寄稿者も含め、みんなが口を揃えて「生徒の自主性を重んじる校風」について書いていたからです。実際のところ、まったくもってその通りで、進学校にありがちな緊張感は、良くも悪くもなく、お祭り好きな校風でした。体育祭や文化祭はもちろんのこと、合唱コンクールや大師競歩(川崎大師まで約20kmの道のりを多摩川沿いに歩くというイベント)など、伝統的なイベントが多く、それに熱中するあまりに現役での合格率が低いなどと揶揄されてもいました。中でも体育祭は、1年生から3年生までの全生徒が生まれた月によって、春組、夏組、秋組、冬組に分かれて戦い、各組ごとに巨大なマスコットを作ることで知られています。「お祭り好き」と書くと、軟派な高校のような誤解を与えるかもしれませんが、スポーツも盛んで、ワタシの期は、いろいろな部が県大会優勝をしていました。当時は、校訓に関心を払うことなどありませんでしたが、今、改めてホームページを見ると、次のように書かれています。
校訓
○質実剛健
集団の規則に従い、社会的な諸条件の中にあって、必要最小限度の質素な素材を持って、不撓不屈、勤勉力行、堅忍不抜、もって最大限の効果を挙げるようつねに努力する。
○自重自恃
生命の貴重なことを自覚して、自他を敬愛し、明朗闊達、礼儀を重んじ、自由と責任をわきまえ、自主独立の精神に徹し、つねに自らを恃みとできるように自己の昂揚に努める。
自主独立の精神。自由と責任。
無謀なくらい(笑)、随分高い理想だと思います。在学中には思いませんでしたけどね。それを、高校時代にカラダで味わえたことは、ワタシの財産になっています。
最近になって聞いたのですが、当時も、先生たちの間では意見が分かれていたのだとか。自由闊達路線か、現役合格者を増やす路線か。自主性を重んじる精神は、先生方の努力によっても、守られてきたのですね。そのために知名度競争では負けているのかもしれませんが、知名度以上の価値を生徒には与えてくれたような気がします。
ワタシよりずっと年下の卒業生が、行事や部活が自主的に行われていることについて、書いていました。このような運営は「先輩の仕事を見たり引き継ぎされたりしない限り、ほどんど不可能」であり、「『生徒主体』『自由』は先輩たちから受け継がれた伝統」であると。
さて、企業の社風や伝統も同じようなものかもしれません。
グラスルーツの社風や伝統は、ワタシと創業期を共にした多摩高の友人田中英理子によって、多摩高文化の影響を受けながら、グラスルーツにもたらされ、グラスルーツを支えてくれた先輩たちのエッセンスがミックスされ、今のような文化・社風になっているような気がしています。
会社の社風や伝統というものは、創業者が一人で作るものではなく、先輩たちが残していったものなのですね。企業では、「DNA」という言葉がよく使われますが、伝播の不思議、継承の不思議を改めて感じました。
ま、それはそれとして、ワタシを育ててくれた多摩高、ありがとう! 今年は忘れずに、同窓会費を払います!