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「MAYUMI2」〜もしワタシのコピーがいたら...(妄想的フィクション)

 忙しいときのふとした妄想として、第2の自分、自分の複製がいたら、どんなに良いかと思うことがありませんか? ワタシは、たまにそんな妄想に陥ります。たまたま昨日、友だちとそんな会話をしたので、今回は、もしワタシの複製がいたら…という妄想をフィクションにしてみました。そのような存在がいることは、一見理想なのですが、話はそれほど簡単ではないなと思いました。結局、人間という生き物は「なぜ自分が存在するのか」を永遠に問い続け、自分の存在感を確認したい生き物なのかもしれません。

以下、想像の物語です。
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 20XX年10月29日。

 ワタシが自分自身のコピー人間を手に入れたのは、今から8カ月ほど前にさかのぼる。国会で、人口減少と少子化問題への対策として、人間同様の生命体を人工的に造り出すことを合法化したのが、4年前。今や298,000円で自分のコピーを持つことができる時代になった。

 ワタシが自分のコピー(名前は「MAYUMI2」)を手に入れたきっかけは、ある晩テレビで見たテレフォンショッピングだった。

 「忙しいあなたへ、もう一人の自分がいて、すべてを任せられたらどんなにラクだろう、と思ったことはありませんか? 当社独自の技術によって生まれた『ウルトラMe』なら、あなたの生活を100%の理想へと変えることが可能です!」。

 フリーダイヤルの案内の後、『「ウルトラMe」で検索』というのを見て、ワタシはネットで検索した。それが、好奇心からだったのか、現実逃避からだったのかはわからない。とにかく、そうやって、ワタシは自分のコピーを手に入れたのだ。

 取扱説明書には「あなたのコピーであるので、あなたらしさ(性格、価値観、知識等)は原則的にあなたと同等のものを持ち合わせています」とあった。半信半疑で受け止めていたのだが、手に入れてから半月もした頃には、ワタシは「これほどの以心伝心はありえない!」と絶賛していた。なぜなら、今までなら、ちょっとやっかいな問題は、誰かに頼まず自ら解決していたのだが、それを「MAYUMI2」に頼めば、ワタシのアプローチと同じやり方で黙っていてもやってくれるからだ。
 ワタシはそれからも「MAYUMI2」にいろいろなことを頼み、目の前の問題が思ったように解決されるかどうかを試していった。結果は期待以上だった。少なくても1カ月ほど前までは。

 「MAYUMI2」とワタシの関係は、一言で言えば、ワタシが「主」だ。しかし、今や「主だった」と言うべきかもしれない。ワタシが絶賛していた頃には想像していなかった問題が起きたのだ。

 「MAYUMI2」を少しずつ試したワタシは、4−5カ月の間にほぼ自分にとって面倒なことや簡単に進みそうにないことを「MAYUMI2」に頼むようになっていった。たとえば、クライアントから依頼された案件の実行は全部「MAYUMI2」に丸投げし、プロジェクトが終了した際の打ち上げだけに参加する、といった具合だ。
 ところが、ある日、ふと心がザワめくのを感じた。案件が着地した経緯をワタシはつまびらかに知っているわけではないので、打ち上げだけに参加しても会話が弾まないのだ。どんなにクライアントが賞賛してくれたとしても、それをやったのはワタシではない。「MAYUMI2」がやったのだ。「MAYUMI2」がいれば、一見便利なのだが、「MAYUMI2」の評価が上がれば上がるほど、ワタシは自分の存在意義がなくなっていくのを感じた。


 「MAYUMI2」は邪魔な存在…。「MAYUMI2」を消さなければ…。

 ワタシは、そういう思いに支配され始めた。ところが、「MAYUMI2」はワタシに先んじて交戦してきた。

 「マユミ。アナタハ、ワタシノアルジ。デモ、カセイデイルノハ、ワタシ。ワタシノイウコト、キカナイト、ワルイコトガ、オキマス」

 「稼いでいるのは私」ってさ、それ、良く聞く台詞。。。


 そして、「MAYUMI2」は、最後にはワタシに襲いかかってきた。「やめてくれ!」「イエ、コノママデハ、ワルイコトガ、オキマスカラ」。それが乱闘であったことは、言うまでもない。

 ワタシは「MAYUMI2」を撲滅した。チカラで。
 けれども。
 「MAYUMI2」に非はあっただろうか。非などあるはずがない。

 今日は彼女の命日だ。「MAYUMI2」があちらの世界で幸せであることを願っている。

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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