小説「社長のテスト」
当社社員の大吉さんに勧められ「社長のテスト」(著:山崎将志、刊:日本経済新聞出版社)というビジネス小説を読みました。元々の経緯としては、あるお客様の社内報で、ある社員の方がリコメンドし、それがきっかけとなってウチの社内にも広まったようです。恐るべし、クチコミの威力!
さて、読んでみて、とにかく面白かったです。本の帯には「ビジネス書にしては面白すぎる。小説にしては勉強になりすぎる」と書いてありますが、まさにその通りでした。
以下、ネタバレになってもいけないので、多少歯切れが悪い点があるのはお許しを。別に、ミステリーではないから、ネタバレも何もないかもしれませんが…。
登場人物は、西村健一、藤原基彦、阿部常夫の3人。それぞれの心情と事情を持ち、関係性のあるこの3人が、ひとつのストーリーの中で交互に語部になり、物語が進んでいきます。
西村健一は阿部常夫が経営する会社の社員。藤原基彦は阿部常夫の会社の買収を画策しつつ、メドが立たないことから、西村健一をスカウトして同様の会社を作ろうとしている。阿部常夫は密かに西村健一に社長の座を譲ろうとしていたのに、コミュニケーションが悪く、西村に三行半を突きつけられる。それぞれに葛藤があり、コンプレックスがあり…で、人間模様としてとてもよくできた小説です。
タイトルの「社長のテスト」。明快に一つのことを突きつけられるのかと思えば、そうではなく、たくさんの問いかけが散りばめられているような内容でした。
たくさんの暗黙の問いかけの中でも、私が一番印象に残ったのは、「何のために会社を作り、どんな姿勢を貫くのか」「どうすれば、本当の仲間をつくれるのか」というものでした。実は、この問い自体は、小説の中ではどこにも出てきません。けれども、それを問われる気がする作品でした。それなりに稼げる組織の、一国一城の主だからといって、それだけで人は幸せにはなれませんし、社長であるからという理由だけでは人は信頼してついてきてくれません。
自分も幸せになり、周りも幸せになる。そんなボスであるためにはどうしたらいいのか。とても、哲学的な質問を受けたような気にさせられる小説です。
でも、本書は小説なので、ワタシがここに書いた問いはあくまでワタシ自身によるもの。皆さん、それぞれに違う感想、違う問いを感じるかもしれません。大阪出張の往復で読めるぐらいのボリュームです。エンターテイメントとしても面白いと思いますので、お時間があればぜひ!
ーーーー
追伸:
当社の社外取締役タキタリエさんが、こんな署名活動を始めました。
change.org
小さなことを積み上げて世の中を変えたいという気持ちに賛同して、署名しました。
多様性を受け入れることに賛成の方はぜひ一度覗いてみてください。