セールスマンは知らない、社長の本音
「営業」ということを真剣に勉強したことがなかったのですが、去年、渡瀬謙さんという方にコンサルをお願いし、初めて営業について勉強しました。渡瀬さんから、営業を勉強するひとつの有効な方法として、積極的に「営業されてみる」ということを勧められました。確かに、営業されてみる、そしてそれを観察してみることによって、多くの気づきがあります。
先日、銀行の営業の方がわざわざ当社にお越しになりました。法人営業の方ではありませんが、会社の口座のある銀行の個人営業の担当者です。年末にお越しになって、2度目の来社でした。
2005年頃は、その銀行から営業の方がよくお越しになっていて、会社も融資を受けていたのですが、やがて担当者が変わり、景気の後退やリーマンショックなどがあって、手のひらを返したように、その銀行からコンタクトがなくなりました。幸い貸し剥がしなどの痛い目には合わずに済みましたが、その意味で不信感はありました。
でも、経営者の心理のどこかには、銀行とは失礼がない程度にはつきあっておかないと…というものがあります。と、同時に、(買わされたと言うと語弊がありますが)当時、個人的に申し込み、元本割れしていた生命保険商品が、今年に入ってようやく元本まで戻ってきたこともあり、それをどうするのか、なんらかの判断をすべき時期に来ていたこともあって、時間をつくって合うことにしました。
ところが、担当者は…
「(一覧表を見せながら)当時は銀行が取り扱っていた商品に幅がなかったのですが、今はこれだけいろいろな商品を扱っています。ご要望を伺えれば、それに添ったものをご紹介できます」
といいながら、ちっとも要望を聞いてくれません。
そこで、要望を自分から言うほど、あなたを信用していませんと伝えたくなり…
「正直なところ、銀行は売りたいときにだけ来て、後はほっぽらかしという不信感があるんです。だから、今日も営業ノルマでお越しになっているようにしか見えないんですけど…」
とジャブを打ってみました。イヤな客です。
「当時は確かに成約するとフォローしないということがありました。それを反省して、定期的に訪問しようということで、今日もこうしてお伺いしています」と担当者。
「ウソつけ〜」とは言いませんでしたが、内心そんな心境のワタシ。
ですが、私自身、せっかく忙しい中、時間を作ったので、生産的でありたかったのです。もし、現在の保険を解約するのであれば、何を勧めたいのかを聞きました。
まずは、これ。次に、これ。そんな感じで2つの保険商品を勧められたのですが、説明内容は、保険の特徴ばかり。先ほどたくさん商品を扱っていることを自慢していたのだから、数ある中で「なぜそれを」「ワタシに」勧めているのかを聞きたくなるのが、こちらの心情です。しかも、現在の保険を解約するメリット/デメリット、新しい保険に入ることのメリット/デメリットを知りたいし、その上で勧めている理由を知りたいというのが普通の顧客心理だと思います。そもそも勧めている理由を知りたいのは、ワタシの要望を分かってくれているかどうかを確認したいからです。ですから、いくら保険商品の特長について説明を受けても、心の動かしようがありません。
さて、今回のブログで、一番重要な話はここからです。社長業をやっている身としては、保険のことなんかで、何時間も悩んでいたくないのです。あるいは2度も3度も会ってから決めるなんてしたくない。「考えておいてください」と預けられても、絶対考えませんから。合理的な説明をしてもらって、その場で即決して、1時間以内にハンコをついて終わらせたい。実はその日、私は印鑑を持ってきていました。
でも、あまりに説明が悪く、警戒心のために上がっている(実際には早く下ろしたい)ガードも下げさせてくれず、終わった時にはむしろ機嫌が悪くなっていました。
いくら生産的でありたいからといって、納得もしていないものを決断することはできません。天の邪鬼かもしれませんが、「それなら、勧められたことの反対のことをしてやる〜」と思って、解約を勧められた保険はそのまま持つことにしました。
ここからの教訓、反対の立場になった時の教訓は何でしょうか。
あまりに当たり前すぎますが、相手の気持ちに寄り添う、信頼を得る、ということに尽きますね。今の時代、誰しも忙しいので、短時間で信頼して納得したい。もっと言えば、早く納得させられたい。それに尽きるような気がします。反対の立場に立って、それができるかといえば、ワタシもできていませんが。
信頼されるためには、相手にとって必要がないときには勧めないことも必要です。そんなコミュニケーションができるようにワタシ自身も精進しないと。。。まだまだ不十分ですが、がんばります!