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社長就任時、社員の心をつかむスピーチ・原稿の作成のポイント

新年度が近いためか、最近、「社長就任 メッセージ」という検索ワードから当サイトのこのブログを訪れる方たちが多いようです。検索結果に表示されているのは、下記のページ「社長就任時や新年度、社長メッセージでやってはいけない5つのこと」です。
https://www.grassroots.co.jp/blog/monolog/2012/04/120423.html

そこで、今日は、社長就任時のメッセージ発信において、社員の皆さんに対し、何をどう伝えるのが良いのか、社員は何を知りたいのかについて、考えたいと思います。ここでは「メッセージ」という言葉を用いていますが、これはスピーチでも原稿でも同じです。

メッセージとは何か

では、そもそも「メッセージ」とは何か。これを押さえずして、話が前に進まないので、この後を読んでいただくための共通言語、共通理解として、ここでは「メッセージとは、その人がその場で一番伝えたい思い」とさせていただきます。スピーチでも原稿でも、何かを発信する際に一番大切なのが、この「メッセージ」です。

一番伝えたい思いという以上、「メッセージ」はシンプルでなければなりません。人が記憶できるのは、極々短い言葉で言い表された概念です。誰しも、一度にたくさんのことを記憶として保持できません。皆さんも、たとえばセミナーに出て、それがどんなに有益であったとしても、覚えていられるのはせいぜい2割ではないでしょうか。だからまず、その前提に立つ必要があります。

したがって、相手に何を記憶してほしいのかという観点から、極めて短い言葉で整理することから始める必要があります。できればワンセンテンス、ワンフレーズ、ワンキーワードにまで落とし込めるとベストです。それを整理しないまま、あれも伝えよう、これも伝えようとすると、失敗します。どう失敗なのかといえば、何も心に残らない内容になります。

まずは「一番伝えたい思い」をシンプルに言語化する。これが鉄則です。

何をメッセージにすべきか

さて、ではどんなことを「メッセージ」にすべきなのでしょうか。これは必ずしも一概には言えませんが、新社長に対して多くの社員が知りたいのは、「会社をどっちの方向にもっていきたいのか」です。でも、そう捉えるとたくさんの切り口が出てきてしまい、選択しにくくなります。

「会社をどっちの方向にもっていきたいのか」という社員の疑問や興味は、こんなふうに言い換えることもできます。それは、「この人はいったい何を成し遂げたいのか」です。社員は、売上などの業績だとか、課題の克服などの話の前に、もっと骨太の話、どんな世界を築きたいのかを聞きたいのです。「子どもたちから、お父さんの会社、お母さんの会社はすごいねと言われる会社にしたい」でも良いし、「社員満足度ナンバーワンの企業にしたい」でも良いし、「当社がいないと困るという人で世の中をいっぱいにする」でも良いのです。こんな会社にしたい、こんな世の中にしたいという骨太の話をメッセージにする、それを社員は望んでいます。

どのような順で語るのか、気をつけるべき点とは?

その成し遂げたい思いを伝える流れと、そのチェックポイントを7つ挙げてみました。これは、私が考えたというよりも、スピーチ研究をされている方たちの知見を私なりに整理したものです。

流れを大きく言えば、次のようになります。

成し遂げたい思いが誕生するまで
  ↓
それが成し遂げられた後、どうなるか
  ↓
それを成し遂げるまでの道のり

7つのチェックポイント

■成し遂げたい思いが誕生するまで
①「なぜ」「なにを」がわかりやすいか
 (何を成し遂げたいのか、なぜ成し遂げたいのか)
②「思い」がしっかり語られているか
 (自分の人生経験と関連づけて語られていることが大切)
③過去または現在の困難と困難を乗り越えて来た事実
 (できるという信念の源として、自社や自身の困難克服の歴史、体験を語る)

■それが成し遂げられた後
④成し遂げたときの情景が「そうなればいいなぁ」とイメージできるか
 (シーン自体やシーンが浮かぶような比喩)
⑤現場で何が変わるか、イメージできるように語られているか
 (自分たちには何が求められるかという社員の不安に応える)

■それを成し遂げるまでの道のり
⑥困難があるという自覚が織り込まれているか
(単なる夢物語に聞こえないために、覚悟を語る)
⑦強い信念が感じられるか
(何としてもそちらに向かうという強い決意の表明)

最後に、あなたがもし社長のスタッフとしてメッセージ原稿の素案を作る立場にあるのなら、次の3点に配慮することをお勧めします。
・「成し遂げたいこと」というのは実は「ビジョン」と言っても過言ではありません。しかし、ビジョンという言葉を使うと、社長は身構えてしまいます。言葉のイメージに惑わされないようにするためにも、「成し遂げたいこと」「志」というような言葉で会話する方が良いと思います。
・もっともらしくまとめることだけは避ける。それふうにまとめられたものは、社員の皆さんは簡単に察知します。ハートや温度が感じられることが重要です。
・各事業部が柱に掲げていることを、社長の言葉にまとめるというパターンも見受けられますが、これも避けたいものです。

社長就任挨拶は、いってみればデビュー戦です。ここでインパクトのあるデビューを飾れないと、挽回に時間がかかります。「メッセージ」をシンプルに絞り込んで、社員の皆さんが希望を抱けるような発信にしていただきたいと思います。

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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