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「〜らしく」という固定観念に縛られていませんか?



上のビデオ、FBのタイムラインでが紹介されていたので、ついつい見てしまいました。「Always」というのは、P&Gの生理用品のブランド名です。その「Always」が、実験的なビデオを今年6月26日に公開しました。どんなビデオかといえば…

映像では、高校生とおぼしき世代の女子と10歳の女の子たちに対して、ディレクターが「走って」「ボールを投げて」「ファイトして」等々の要望を出し、彼女たちがそれを演じた模様を比較して紹介しています。ただし、共通するのは「Like a girl(女の子らしく)」という注文です。

映像の構成は、、、
【Part1】 高校生たちが「女の子らしく走る」「女の子らしくボールを投げる」映像から始まります。女子高校生のほかに10代後半の男子と10代前半の男子が「女の子らしく」走ってみせる映像も含まれています。アスリートのような走り方をする人は一人もいません。
【Part2】 続くパートは、10歳の女子たちの部。同様に走ったり、ボールを投げたりといった動作をする映像が流れます。高校生たちとはまったく違った動きを見せます。言ってみれば「全力で走る」「全力で投げる」というのが伝わってくる動作をするのです。
【Part3】 最後のパートは、10歳の女子たちの映像を見た高校生たちが、振り返ったり、10代の子たちへメッセージを残して終わります。

印象的だったシーンが2つあります。
1つは、【Part2】で「女の子らしく走ってと言われて、それはあなたにとってどういうことだった?(What does it mean to you when I say run like a girl?)」という質問に対して、10歳の子が「それは、できるだけ早く走れという意味だと思う(It means run as fast as you can.)」と答えたこと。女の子らしいということに弱さのイメージは微塵もなく、人として走れと同義として受け止めていました。
もう1つは、【Part3】で「もし今もう一度女の子らしく走ってと頼んだら、違うことをする?(If I asked you to run like a girl now, would you do it differently?)」と質問された高校生が、「次は自分らしく走るだろう(I would run like myself.)」と答えたことです。彼女にとって、「女の子らしく」に画一的な意味はなくなり、「自分らしく」に意味が転換されたのです。

「女の子らしく」ではなく「自分らしく」。

ワタシが、今回この話題を取り上げようと思ったのは、人が「自分らしくあること」を忘れて、「〜らしく」振る舞おうとすると、多分幸せになれないんだよな、と思ったからです。この例は、たまたま「女の子らしく」でしたが、人に襲いかかってくる固定観念はそれだけではありません。

「社長らしく」「部長らしく」「リーダーらしく」もそうですし、「良い夫らしく」「良い妻らしく」「父親らしく」「母親らしく」もそうです。あるいは、仕事の性質に縛られて「営業マンらしく」「マーケッターらしく」「研究者らしく」なども同様です。

私事で恐縮ですが、ワタシも30代の頃「社長らしくあらねばならない」という思いが強すぎて、とても息苦しくなってしまったことがあります。社長らしい決断、社長らしい人付き合い、社長らしいファッション。。。自分で自分に押し付けた画一的な社長像なのですが、本来の自分とこうあらねばならないと思い込んでいる自分の間にギャップがあって、とっても苦しかったことを覚えています。
で、どうしたかといえば、単純に居直りました。ワタシはワタシ。それでいったい何が悪い、と。

しかし、それでも生きていればチリが積もってきます。自分らしさ全開とは違う方向に力学が働いて、段々「自分らしい」状態と離れていってしまう。人間は、そんなことを繰り返す生き物なのでしょうね。あえて「繰り返す」と書きましたが、戻って来られずに自分らしさを忘れたままで一生を終える人もいるのだと思います。

ワタシ自身を自己評価するなら、今は「〜らしさ」という縛りが働いているとはあまり思いませんが、では「自分らしい自分」で100%いられているかと言うと、まだまだ奥の方に自分が気づいていない眠っている自分がいるような感覚があって、自分らしさ全開とは言えません。それを探求することは、早く知りたくてじりじりしつつ、わくわくもします。

ワタシも含め、周りが期待することに応えたいと思う人は多いと思います。でも、期待に応えることと、勝手な想像で「〜らしい」像を描き、その像に自分を合わせようとすることは別なのですよね。それを履き違えると、苦しくなるし、幸せにはなれません。自分らしく、周りの期待に応える。そのためにも、自分らしさをちゃんと知って、その立ち方をしっかりカラダで掴んでいる。そんなふうでありたいものですね。「〜らしく」より、まずは「自分らしく」毎日を送りたい。このビデオを見て、そんなことを考えました。

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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