今日はお風呂に入りたくない
今回の記事タイトルを見て、「うそ〜ッ!この暑いのに、ありえない!?」
と思いましたよね(笑)
これは、この夏ではなく、今年の1月に実家の母が私に言ったつぶやきです。
今日は、この「やりたくない」という人の心理について考えたいと思います。
母が、「今日はお風呂に入りたくない。明日入るからいいわ」と言った時、
それが続いているようだったので、私は理由を聞きました。
すると、出てくるわ、出てくるわ、8つぐらいの理由を持ち出して、
なぜお風呂に入りたくないのかを説明したのです。
脱衣所が寒くてイヤだ、
バスタブをまたぐ時に膝が痛い、
風呂場で転ぶと怖いから、呼んだら聞こえる場所に誰かにいてほしい、
夜は疲れてしまっているので昼に入りたい、
服を脱ごうとすると腕が痛い、等々。
でも、これらはある意味、母にとっては、全部本当のことでした。
障害を取り除くことで「やりたくない」が「やりたい」に近づきます。
これは、たまたま母の事例ですが、
誰でも、多かれ少なかれ、やらない理由、先延ばしにする理由を見つけて、
やらないことを正当化することがあるのではないでしょうか。
仕事でもありますね。
マーケティングやコミュニケーションの世界では、
人は、読まない、理解しない、信じない、行動しない、
という前提で伝える必要がある...とはよく言われることです。
誰だって、億劫なものは、億劫なのです。
ですから、やらない理由となっているもの(障害)を取り除いたぐらいでは、
やっぱり「やりたい」とはなりません。
自ら進んで行う動機がないからです。
私が母に言ったのは、「入浴すれば、病院の先生を不快にしなくて済む」でした。
ちょっと意地悪ですが、羞恥心という痛みに切り込んで、動機付けにしたのです。
この例は、会話のケースなので、「読まない」という状況は生まれません。
でも、メール、メルマガ、社内報、社内向け資料のコミュニケーションでは、
「行動しない」どころか、「読まない」をクリアしないことには始まりません。
そこで重要なのが、タイトルなんですね。
一般に、人間の行動原則は「痛みを避けて快楽を得る」なので、
読む動機となるものも、大別すれば「快楽」か「痛み」だと言われていますし、
その先にある「ベネフィット」が動機となるという言い方もできます。
facebookで、ついつい読んでしまう「ちょっといい話」系のコンテンツは、
「快楽」系です。人は感動が大好きですなんですね〜
書店に並んでいる本のタイトルも分類すると、こんなふうに分けられます。
★快楽系ベネフィット
・「美人はこれを食べている」
・「人生がときめく片づけの魔法」
★痛み系ベネフィット
・「病気にならない生き方」
・「知らないと恥をかく世界の大問題」
しかし、この実践、そんなに簡単ではありません。
たとえば、先日まで私が書いていた「NVC」に基づく「言葉の壁シリーズ」。
ハウツー系コンテンツに対する皆さんの関心を知りたくて、書いてみましたが、
「読んだよ」のPV数からすると、第1回を除き、あまり好評とは言えませんでした。
原因はいろいろあるかと思いますが、、、、
タイトルから、何を解決するためのコンテンツなのか、
ベネフィットがわからない上に、
「え? なになに?」という興味も持てなかったからではないか...と思っています。
あるいは、そもそも月曜の朝から、こういうハウツーは読みたくない...
というのもあったかもしれません(笑)
そういう意味では、今回も実験です。
月曜日の朝から!「今日はお風呂に入りたくない」というタイトルで、
いったい何割ぐらいの方が読んでくださるでしょうか。
【読んだよクリック数=開封した人数=読んだ人数】ではありませんが、
今号の「読んだよ」クリック実験の結果は今度紹介します。
今週5日(水)は宣伝会議様主催の「インナー広報実践講座」で講師役を務めます。
http://www.sendenkaigi.com/class/detail/inner_communication.php
当社主催セミナーもプラニングしたいのですが、追いついておりません(泣)
8月に入りました。夏休みに入る方も多いことでしょう。
本当に暑い!のですが、お互い熱中症に気をつけて、夏を乗り切りましょう!