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白魔術師になって正しい言葉を使いたい〜「四つの約束」を読んで

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週末は春のように暖かな陽気でしたね。あまりのポカポカにベランダで読書にいそしみました。読んだのは、ドン・ミゲル・ルイス著の「四つの約束」(コスモス・ライブラリー)です。これは、以前参加した研修会での課題図書だったのですが、当時は今ひとつ興味が持てず、途中で挫折して読み終えませんでした。


この本で著者ドン・ミゲル・ルイスは、古代メキシコでスピリチュアルな知識を伝承する「トルテック」と呼ばれる人々(科学者や芸術家)の智慧に基づき、人が幸福に生きるためには4つの約束を守る必要があると説いています。そのため、序文が少々神話的であり、本文も宗教や心理学の本であるかのような印象であることは否めません。しかし、やっぱり本を読むにはタイミングというのがあるのですね。今回は、とてもぐいぐいとひきつけられる感覚で、読み進むことができました。


4つの約束が何であるかの前に、この本の主張は、私たちは子どもの頃から大人から刷り込まれた自己像を背負って、褒美をもらいたいがために生きているが、他者の価値観に添うのではなく、ありのままの自分を受け入れて生きなければ、真の幸福は得られないということが前提となっています。その意味で、アドラー心理学などにも通じるものがあり、4つの約束の内容自体もどこかで聞いたことがあることが再整理され、こうして提示されているという印象でもありました。


では、4つの約束とは何でしょうか...? 以下、4項目は引用です。


(1)正しい言葉を使うこと
(2)なにごとも個人的に受け取らないこと
(3)思い込みをしないこと
(4)つねにベストを尽くすこと


掻い摘んで要点をお伝えすると...


(1)「正しい言葉を使うこと」というのは、罪のない言葉=自分に背かない言葉を使うこと。愛する相手を束の間の感情で罵ったりすることは正しい言葉を使っていない。
(2)「なにごとも個人的に受け取らないこと」というのは、自分に関する良い話も悪い話も個人的に受け取らず、それに影響を受けないで生きるということ。
(3)「思い込みをしないこと」。思い込みとは、物事をはっきりさせるためにすべき質問をせずに、こうであるに違いない、相手はわかってくれているはず...という考えが真実であるかのように思い、その考えに縛られていることに気づかないこと。
(4)「つねにベストを尽くすこと」というのは、今を生き、その状況で最善を尽くした自分でいるということ。そうすれば、自分を責めることなく生きられる。


いずれの約束も破ると、感情的な毒を撒き散らして人を傷つけたり、自分が傷ついたりする羽目に陥ります。


さて、私にとって、この中で一番印象に残ったのは、やはり「正しい言葉を使うこと」でした。そりゃそうですよね、『「言葉」で未来をつくる』が企業理念ですから。


その章の中で、こんな話が書かれていました。
ある母親が仕事で疲れ頭痛を抱えたまま帰宅した時、小さな娘が大はしゃぎで歌を歌っていた。母親は我慢できずに、「静かにしなさい。変な声で歌わないで!」と怒った。そこを境に、その娘は二度と人前で歌わなくなり、愛されるためには感情を抑圧しなければならないと学んでしまった。母親にとって、その娘は目に入れても痛くない存在であったのに...。
作者はこのような罪のある言葉を「まじない」「黒魔術」と表現しています。黒魔術というのは、罪のある言葉=自分に背いた言葉を使うことです。「誰それは◯◯が上手だ/下手だ」「誰それは可愛い/ブサイクだ」など悪意のない評価も罪ですよね。
愛する相手を束の間の感情で罵ったりすることは、なおさら正しい言葉とは言えません。ああん、耳が痛い。。。


言葉は白魔術に使わなくてはいけない、それが作者の主張です。白魔術というのは、たとえば愛を分かち合うことに使うこと。そのためにも、まずは自分に向けて使うことから始めることを勧めています。「(自分が)どれだけ素晴らしい人間であるか、自分に言いなさい。どのくらい自分を愛しているか、自分に言いなさい。」と。
それが幸せな生き方に直結する...ということのようです。


この本を読んで思ったのは、まったく自覚できない意識のレベルで、私たちは意外に自己否定しているのかもしれないな、ということ。よく「あの人は自己肯定感が低い」などという表現で、他人を評価する声を耳にしますが、そんなことを語っている当人を含めて、もしかしたら誰もがどこかで理想の自分になれていない自分を自己否定していて、それを直視したら辛すぎるから意識の彼方へと葬り去って、自己肯定している自分を演じているのかもしれません。


うーん、人の心理は奥深いですね〜
とにかく「白魔術師になりたい」とそんなことを考えた週末でした。
どうぞ良い1週間をお過ごしください。

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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