小池百合子さんの当確挨拶で思ったシンプルな言葉の威力
先日の都知事選で、日本初の女性都知事が誕生しました。
先進国の中でも、女性の政治参加率が低いと言われる日本で、
これは一つのエポックメイキングだったと言えるのではないでしょうか。
今度こそスキャンダルは勘弁してほしいですね。。。
さて、当選確実が報道された直後、
選挙事務所で支援者に向かって挨拶した小池百合子さん。
そのシーンをどうご覧になりましたか?
私は、内容とは別の視点で、おや?と感じたことを覚えています。
「〜を申し上げると同時に、〜」
「〜思っていますし、〜」
「〜、そしてまた〜」
口語だから文と呼ぶのも変ですが...。
わかりやすい言葉できっぱり語るいつもの小池さんよりも、
一文が長いなと思ったのです。
小池さんは、かつての「クールビズ」に始まり、
今回の「崖から飛び降りて」や「徴兵制VS志願制」など
言葉の感覚は鋭い人だという印象があります。
けれど、この当確直後の挨拶は、一文が長くてわかりにくかったですね。
恐らく当選し興奮さめやらぬ中での挨拶だったので、
感情が次から次へと湧いてきたためなのでしょう。
ま、小池さんにすれば、話し下手な私から、
そんな指摘を受けたくないでしょうけど(笑
このシーンを通じて思ったのは、
話し言葉も書き言葉も同じだということ。
単語がたくさん続いていくと、
聞いている人、読んでいる人にとっては、
複雑で頭に入りにくくなります。
言葉を短くシンプルにすると、
言葉の威力は反比例して増します。
長くて分かりにくい例を探してみました。
今年6月2日に閣議決定された
「経済財政運営と改革の基本方針 2016について」がその例。
以下、引用です。
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年初来の不安定さは外的要因から来ているとはいえ、
国内経済も個人消費や設備投資といった民需に力強さを欠いた状況となっており、
こうした背景には、人口減少・高齢化社会の下での期待成長率の低下、
IT化などの技術革新を活かしきれていない生産性の低い働き方の継続、
未だ実感に乏しい子育て環境の改善や現役世代の先行き不安等が
根強く存在している。
ーーーーー
いかがでしたか?
私は最初の2行を読むだけでも、意味を噛み砕きながら読まないと、
頭に入ってきませんでした。
まず単純に一文が短いと、言葉が頭に入りやすくなります。
言葉のシンプル化の名人といえば、故スティーブ・ジョブズ。
「今日、アップルが電話を再発明します」や
「1000曲をポケットに」というシンプルなメッセージは
人の心を捉えました。
さて、スティーブ・ジョブズがそうやって言葉を削ぎ落としたのは、
単に才能豊かな人だったからでしょうか。
もちろん、センス溢れる人であったことは間違いないでしょうけれど、
私はそれだけではなく、信念があったのだろうと思っています。
ここからは推測でしかありませんが。。。
それがどのような信念かというと、
「言葉が人を魅する。だから、言葉を大切にすべきだ」、
そんな信念です。
つまり、どんなことをキーメッセージにするか、
どんなワードで表現するか、
どれだけシンプルに表現するか、
単なる思いつきではなく、しっかりそれを考えていた。
彼にとって「設計する」という感覚があったのではないか。
いえ、まあ、あくまで推測ですけど。
最初に話題に挙げた、小池さんにも「クールビズ」の時に、
そういう匂いを感じました。
つまり、ジョブズも小池さんもシンプルな言葉の威力を知っている。
「伝える」ではなく「伝わる」を大切にしている私たちグラスルーツも、
言葉には人の心を動かす力があるという信念を持っています。
人の心を動かす言葉を見いだすのは容易なことではありませんが、
そのためにベストを尽くす、ジョブズのような心意気でありたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
どうぞ良い1週間をお過ごしください!