「わかる」「わからない」に強くなる
私たちは、1日に何度となく「わかりました」とか、
「承知しました」という言葉を使って、
会話をしたり、メールを書いたりしています。
気軽に使っているこの「わかる」という言葉。
でも、よくよく考えてみると
とても高度な脳の働きが求められますよね。
仕事で私たちが「わかる」と言う時、大抵の場合、
「あなたの希望はわかりました」とか、
「私に期待されていることはわかりました」というような
意味で使っているのではないでしょうか。
でも、実際には人が他人の思いを100%理解することは
不可能です。
ですから、「わかる」と言っている時の本心は、
相手の希望はだいたいこんなことだろうな、と思っているにすぎません。
そして、ポイントさえ外さなければ、それで事足りたりします。
希望を伝えた本人も、詳細にはわかっていない場合があり、
それはつまりAということですか、Bということですかと聞いて初めて、
Aだとわかるということもありますよね。
本当はとても高度なコミュニケーションなのに、
大胆にもアバウトにやりとりしているのが
この「わかる」の表現です。
どうしてでしょうか? これについて私は、
そもそも100%理解し合えることがない、ということは、
「わかる」には終わりがないからだろうな、と思います。
こんなシーンもよく見かけませんか?
目的だけ伝えて、あとは「よろしく」とだけ言う上司に対して、
部下は説明された目的に対して「わかりました」と言う。
でも、なぜそれが今必要なのか、
どのように進めればいいのかまではわかっていない。。。
そうすると、「よろしく」と言われても部下は立ち往生するしかありません。
こういう失敗は私も時々してしまいます。
グラスルーツには「わからない時には、わからないと言って良い」のではなく、
「言わないといけない」という価値観がありますが、
かといって、人には自分が今何がわからないかがわからない...
ということもあります。
「わからない」状況のまま進めた結果、
より良いアウトプットができなかったとしたなら、
それは頼んだ上司の側に責任があるんですよね〜
「わかる」を理解することは、1対1の関係にかかわらず、
伝える仕事に携わっている人たちにとっても
重要なスキルですよね。
当社の企画力養成講座では、「わかる」の5ステップとして、
「ラクダ(RUCDA)の法則」というものを紹介しています。
非認知から行動への5段階です。
R(Recognize)認知する段階
U(Understand)理解する段階
C(Chew)咀嚼する段階
D(Desire)志望する段階
A(Act)行動する段階
そして、相手が知りたいこと、知りたい順番の原則は
What(それは何か)
Why(それはなぜ重要か)
How(どうやってやるのか、それをするとどうなるのか)
...であるとお伝えしています。
「WHYから始めよ!」(サイモン・シネック著)という説もあります。
一理あるとは思うものの、
一歩間違えると、相手は混乱するんじゃないかな。
何の説明をされているかわからない時に、
それがなぜ重要かを説明されてもね。。。
人と人はわかりあえないからこそ、
わかりあう努力をすることが大切ですよね。
自分が今何をどうわかっているのか、わかっていないのか、
相手が何をわかっていて、何をわかっていないのか、
気にかけながらコミュニケーションすることが大切ですね。
今週も素敵な1週間をお過ごしください。