本当にそう?
ちょうど今、私は「未来は言葉でつくられる」(著:細田高広、ダイヤモンド社)という本を読んでいるのですが、
あなたは言葉の力を信じますか?
こう聞かれたら、多くの人は「イエス」と答えることでしょう。おそらく過去に感銘を受ける言葉と出会った経験があるからです。
それは、人から言われた言葉かもしれませんし、何かで読んだ言葉かもしれません。
つまり、誰しも言葉には人の気持ちを動かす「力」があることをなんとなく知っています。
でも、結局のところ、言葉の地位は、それ以上でもそれ以下でもない。
少なくてもビジネスにおいて言葉を大切にする経営を行なっている企業は、あまり多くないと感じます。
多くの場合、言葉がどう捉えられているかというと、説明して理解してもらうためのもの、なのではないでしょうか。それはそれで大切ですが、本当にそれだけかといえば疑問です。
私自身は、言葉こそが、自分の人生を変えたり、自分の仕事を変えたり、世の中をより良い方向に変えたりするのだと思っています。何かの始まりには常に向かう先を描く言葉があるのだ、と。
そんな私にとって、言葉は未来をつくるためのものだと語るこの本は、
まさに我が意を得たり!です。
この本では、ソニーやアップル、ディズニーやシャネルなどを例に挙げ、
革新的なことを成し遂げる出発点には
常に「ビジョナリーワード」と呼ぶべき1行の戦略ワードがあったことを紹介。
さらに、どのようにしたらその言葉が作れるのか、
アプローチ方法を紹介しています。
この本には共感することがいろいろと書かれていますが、
中でも一番強く「その通り!」だと思ったのは、
つくりたい未来の入り口を探すには、現状を疑うことが不可欠だという指摘です。
つまり、未来をつくる言葉をいきなり生み出そうとしてもできるものではなく、
現状を疑うことが先である、ということですね。
著者は、そのために有効なのは「本当にそう?」という自問だとしています。
以下の引用は、各社の出発点にあったであろう自問です。
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ビジネスは、自然環境の敵である。本当にそう?(パタゴニア)
コンピューターは便利ならそれでいい。本当にそう?(アップル)
クルマは家計と環境の負担になる。本当にそう?(ジップカー)
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そうなんですよね。
「疑ってみよ」というのは、身近なことでも言われますよね。
日々の仕事で当たり前のようにやっていることを疑ってみよ、とか。
ところが、疑ってみること自体、結構難しい。
人間は思い込みをする動物だからです。
これはこういうものである、という思い込みで
私たちはがんじがらめになっています。
これでは、未来を変えるどころではありませんね。
しかも、社会常識に対して思い込みを持つだけでなく、
自分自身に対しても思い込みを持っています。
・私は〜が苦手。
・私に〜する時間はない。
・私は〜をしなくてはならない。
思い込みは、言葉の負の力だということもできますね。
だから、仮に目の前のことについて「本当にそう?」と自問して、
「違うかもしれない」と思えても、
今度は「自分の手で現状を変えるなんてムリ。できるわけがない」
という思い込みが働き...などということになりかねません。
でも、、、、
そもそも人間が思い込む習性のある動物であるなら、
常に「本当にそう?」と自問するクセをつけるしかありませんね。
自分の思い込みワードを打ち消し、
自分の未来、社会の未来をより良くするための魔法の言葉、
それが「本当にそう?」なのかもしれません。
さて、10月がスタートし、2017年も最終コーナーです。
どうぞ素敵な1週間を!