清く、正しく、美しく〜3.11に思う
今日は3月11日、東日本大震災から8年が経ちました。
私は、あの震災の時、寄付など自分にできることはしたのですが、
現地でボランティアなどを行なっている方たちを見て、
自分の無力感を痛切に感じたことを覚えています。
そして、いや、待て、日本経済がズタズタになるときに、
経営をしっかりやり抜くことが私に課せられたことかもしれない、
そんなふうにも思ったことを今でもはっきり覚えています。
あの時の心のザワつき、ふと最近よく思い出します。
私はNHKをよく観るのですが、
ここ最近、東日本大震災当時の振り返り番組をいくつか観ました。
具体的にいい番組だと思ったのは、
・震災を機に日本国籍を取った日本文学者ドナルド・キーンさんの
インタビュー番組(再放送)
・除染の廃棄物が当初の計画通りに進まず、今なお、福島の皆様の
住居のそばにあることを取り上げた番組
・震災発生当時、行政、NPOなどの支援団体、自衛隊の連携が機能した
石巻モデルの紹介番組(再放送)
それらから感じたことはたくさんあるのですが、
欲張ると収拾がつかなくなるので、
今回はドナルド・キーンさんのインタビュー番組から感じたことを書きます。
さて、、、、ドナルド・キーンさんの名前、聞いたことはあるけれど、
具体的なことが思い出せない方のために、要点を紹介します。
ドナルド・キーン氏:
1922年6月18日、ニューヨーク市に生まれる。日本文学者・日本学者。
アーサー・ウェイリー訳『源氏物語』に感動して日本文化に興味を抱く。
文学畑の研究者だが、太平洋戦争中、通訳官として日本人に接する。
戦地で亡くなった日本人の日記に多数触れ、日本人の心に触れる。
日本びいきとして知られ、
東日本大震災を契機に、多くの欧米人が日本を去る中、
日本国籍を取得し日本に永住する意思を表明した。
晩年に書き上げた『正岡子規』『石川啄木』は話題に。
また『百代の過客』『日本人の美意識』など日本語の著作も多い。
先月24日、つまり2019年2月24日に心不全のため都内病院で亡くなられました。
キーンさんは、日本人の素晴らしさについて、
美を感じ取る心、人を思いやる心があることだと思っているようでした。
ちょっとこそばゆいですが、そうなのかもしれません。
そして、震災のときに略奪が起きなかったことや譲り合ったことに対し、
世界が感嘆したことにも言及していました。
確かに、財布を落としても、かなりの確率で戻ってくると言われるように、
今でも日本人は、他の国に比べて正しい行いをする傾向が高いのかもしれません。
そういうDNAは確かに日本人の心にはありますよね。
清く、正しく、美しく。
だけど、最近は「清く、正しく、美しく」は死語になり、
ぴんと来ない人も増えてきているような気がします。
不適切動画が平然とアップされたり、
正義とか美意識とか倫理観とか、そういう観点から発言し、
行動する人が減っているような?
あるいは、正しいと心底思えなくても、周囲に気を使って同意したり、
自己中心的なモンスター発言をしたり...。
判断基準にあるものが美意識ではなくなっている。
ドナルド・キーンさんは震災後、福島の農作物の安全性が検証されてもなお、
「私は九州の野菜を買っている」と自慢げに発言する人々に対して、
どこから買おうと自由だけれど言葉に出す必要はない...と感じたと語っていました。
それが寄り添うことであり、日本人が大切にしてきたことではなかったのか、と。
清く、正しく、美しく。
そんな生き方はカッコいいと思います。
と、同時に番組を見ていて「東北を忘れないで」のメッセージを受け取りました。
その通りだなと思ったので、シェアします。
たかがシェア。されどシェア。
それが何もできない私にとって、ささやかですができることです。
素敵な1週間を!