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テンプレ化した言葉「寄り添う」に違和感

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ジャニーズ事務所の問題、私、ミーハーなのでしょうか、
興味を持って眺めています。
部分的にしか見てはいませんが、10月2日の会見は、
社名を変更することや補償業務に専念するとしたことから、
評判の悪かった9月7日の会見に比べ、少しは挽回したようですね。
それでも、ネットの声にはまだまだ厳しいものを感じます。

私は、会見の内容もさることながら、会見で使われた2つの言葉に対し、
ちょっとした違和感を感じたので、今日はそこを足がかりに考えたいと思います。


違和感を感じた2つの言葉とは、
1つは「ビジョン」
もう1つは「寄り添う」です。

新社長である東山氏は、今後の事務所の方針を説明した後、
「これが私たちのビジョンです」と語りました。
ここでの「ビジョン」は展望、見通し、未来像という意味だと思うので、
辞書的におかしいわけではありませんが、
果たしてその語感はこの場にふさわしかったかというと疑問です。
「ビジョン」は明るい理想に向かっていくような語感の単語だからです。
同じ意味で、新社名「スマイルアップ」も、
勘違いしてない?とひんしゅくを買いそうな語感です。
改めて、言葉はその場に似つかわしいかが重要なんだと痛感しました。


そして、もう1つは今日の本題「寄り添う」というワードです。
「被害者に寄り添う形をきちっとつくっていきたいと思います」という発言の中で、
東山氏はこのワードを使いました。

言葉尻を捉えるようで申し訳ないのですが、
この「寄り添う」という言葉が使われた時点で、ごめんなさい、
私は「あ、これは作文を読んでいるのであって、ここに"思い"などはないな」
と思ってしまいました。

なぜかというと、この「寄り添う」という言葉は
最近では一種のテンプレートワードになっているからです。

被害者に寄り添う
被災者に寄り添う
患者に寄り添う
障がい者の方たちに寄り添う
お客様に寄り添う

特に最近は地震や台風被害も多いので、
そのたびに政治家や行政の方たちがこぞって「寄り添う」を使っている印象です。

ここに常套句の怖さがあります。
「こう言っておけば大丈夫だろう...」
という姿勢が見透かされてしまう。
そう思うのは私だけでしょうか。


そもそも「寄り添う」という言葉にはどんな意味があるのでしょうか?
辞書的な意味を調べてみました。

ー出典:デジタル大辞泉(小学館)ー
もたれかかるように、そばへ寄る。
ーー ーーー ーーー ーーー ーー

でも、被害者に寄り添うという時、その意味は、物理的に体を寄せるのではなく、
「心を寄せる」「気持ちで応える」
「親身になって相手の気持ちを理解しようとする」。さらには
「自分にできることをしたい」
そんな意味まで含んでいるように思います。

そうであれば、本来「寄り添う」は
人として素敵な姿勢を示す言葉であるはず!なのですよ。

なのですが、今、さまざまな報道を通じて「寄り添いたい」という言葉を聞く時、
あなたはどう感じますか? 紋切型の姿勢に感じませんか? 
私には、その言葉を使っている人は
具体的に何をすることなのかをあまり深く考えずに使っているように見えます。
ただ体裁の良い言葉として使っている。
そう感じてしまう私は、職業病なのでしょうか?


さて、実際には「寄り添う」という言葉を使った人たちを
十把一絡げに語ってはいけないと思います。
本当に思いを持って、その言葉を発した人たちもいることでしょう。

でも、テンプレートワード、すなわち常套句になっていないか、
そこへのアンテナを張っていない人は、
紋切型で心からの言葉ではないと思われてしまう可能性がある。
「全社一丸となって」などもその類でしょうか。
広報に携わる私たちは、その恐ろしい現実に自覚的であるべきだと思います。
あなたは、どう思いますか?

暑い季節が去り、少し凌ぎやすくなりました。
2023年も3カ月。元気に過ごしましょう。

ブログを書いている人

小野真由美

グラスルーツの代表。組織をただの集団ではなく、チームにするための組織内コミュニケーションはどうあるべきだろう?…なんていうことを、いつもツラツラ考えています。ブランディングやコミュニケーション、チームやリーダシップ系の話題が7〜8割、その他の話題が2〜3割。そんなブログを目指します。ぜひおつきあいください。

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